TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。


井澤ですいざわ
2017年5月24日に文末に[質問と回答]を追加しました。

以下の問題は、すべて鉄筋コンクリート造の部材寸法についての問題です。

■問題1
鉄筋コンクリート造において、柱が座屈しないことを確認しなかったので、柱の小径を、構造耐力上主要な支点間の距離の1/10とした。(一級構造:平成24No.12
■問題2
鉄筋コンクリート造において、階高8mの正方形断面柱の一辺の長さを、階高の1/12とした。(一級構造:平成25No.13
■問題3
鉄筋コンクリート造において、建築物の使用上の支障が起こらないことを確認しなかったので、梁のせいを、梁の有効長さの1/15とした。(一級構造:平成24No.12
■問題4
鉄筋コンクリート造において、建築物の使用上の支障が起こらないことを確認しなかったので、片持ち以外の床版の厚さを、床版の短辺方向の有効張り間長さの1/25である200㎜とした。(一級構造:平成24No.12
■問題5
鉄筋コンクリート造において、一辺が4mの正方形床スラブの厚さを、スパンの1/25とした。(一級構造:平成25No.13
■問題6
長さ1.5mのはね出しスラブの厚さを、はね出し長さの1/8とした。(一級構造:平成25No.13
■問題7
鉄筋コンクリート造において、コンクリートの充填性や面外曲げに対する安定性等を考慮して、耐力壁の厚さを、壁板の内法高さの1/20である150㎜とした。(一級構造:平成24No.12
■問題8
鉄筋コンクリート造において、階高4mの耐力壁の厚さを、階高の1/40とした。(一級構造:平成25No.13

――――――――――――――――――――――
■解答
(柱)問題1正。問題2正。
   RC造の柱の小径は高さの1/15以上。
(梁)問題3誤。
   RC造の梁のせいはスパンの1/10超。
(スラブ)問題4正。問題5正。問題6正。
   RC造のスラブ厚は、一般に短辺スパンの1/30超。片持ちスラブは1/10超。
(耐力壁)問題7正。問題8誤。
   RC造の耐力壁の厚さは、内法高さの1/30以上かつ120㎜以上。
――――――――――――――――――――

試験直前は、特にこういうところを覚えましょう!
次回の予習を兼ねて、RC造以外についても一緒にまとめておきます。

buzaisunpou

表中、「以上」と「超(超える)」があって紛らわしいですが、たわみに関する「梁せい」と「スラブ厚」は「超える」、それ以外は「以上」です。

――――――――――――――――――――――
[質問と回答]
次のような質問を複数いただきましたので、回答いたします。

■質問
表中では「RC造のスラブ厚は、一般に短辺スパンの1/30超」となっていますが、施行令77条の2第1項一号では「1/40以上」とあります。この違いを教えてください。

■回答
・令77条の2第1項一号には「1/40以上」とありますが、これは許容応力度計算が不要な場合の基準です。
・同項ただし書により、「令82条四号に掲げる構造計算によって振動又は変形による使用上の支障が起こらないことが確かめられた場合」は、「1/40以上」とする必要はありません。
・そして、許容応力度計算が必要な場合は、この令82条四号に掲げる構造計算をしなければなりません。(令81条3項)

・以上をまとめると次のようになります。
――――――――――――――――――――――
77条の2第1項一号
許容応力度計算が不要な場合・・・1/40以上
■令82条四号及びH12告示1459号第一(下記URL参照)
http://wwwkt.mlit.go.jp/notice/pdf/201703/00006503.pdf
許容応力度計算が必要で、
「建築物の使用上の支障が起こらないことを確認しない場合」・・・1/30
「建築物の使用上の支障が起こらないことを確認する場合」・・・・1/30以下も可
―――――――――――――――――――――
■令82条四号及びH12告示1459号第二
「建築物の使用上の支障が起こらないことを確認する方法」は、次式のとおりです。
[(たわみ×変形増大係数)/部材の有効長さ]≦1/250
――――――――――――――――――――――
■試験対策としての結論
本試験では、梁せい、スラブ厚について、問題3、4のように「建築物の使用上の支障が起こらないことを確認しない場合」を聞いてきますので、表中の「RC造のスラブ厚は、一般に短辺スパンの1/30超」のほうを覚えましょう。
――――――――――――――――――――――




井澤ですいざわ

■問題1
鉄筋コンクリート構造の柱部材の曲げ剛性の算定において、断面二次モーメントはコンクリート断面を用い、ヤング係数はコンクリートと鉄筋の平均値を用いた。(一級構造:平成21No.13
■問題2
鉄筋コンクリート構造の柱及び梁の剛性の算出において、ヤング係数の小さなコンクリートを無視し、ヤング係数の大きな鉄筋の剛性を用いた。(一級構造:平成24No.14
■問題3
鉄骨鉄筋コンクリート構造の架構応力の計算に当たって、鋼材の影響が小さかったので、コンクリートの全断面について、コンクリートのヤング係数を用いて部材剛性を評価した。(一級構造:平成23No.19

――――――――――――――――――――――
■解答
 問題1 誤。断面二次モーメント、ヤング係数ともにコンクリートのみを用いる。
 問題2 誤。問題1の類題。ヤング係数は鉄筋のほうが大きいが、断面二次モーメントが非常に小さな鉄筋を無視し、断面二次モーメントの大きなコンクリートの剛性を用いる。
 問題3 正。
――――――――――――――――――――――

――ポイント:RC造・SRC造の剛性評価――
剛性は、RC造でも、SRC造でも、コンクリートだけで評価する。
つまり、鉄筋、鉄骨を無視して、コンクリートの(ヤング係数×断面二次モーメント)で求める。
――――――――――――――――――――――

1.そもそも剛性評価とは?
そもそも剛性評価は、部材に生じる応力を求めるために行います。
曲げモーメントは、節点に集まる部材の剛比(=剛度の比≒剛性の比)に応じて分配されます。(分配モーメント)
硬い部材には大きな力が分配されるのです。

2.剛性とは
剛性とは硬さです。
剛性には、軸方向剛性、せん断剛性、曲げ剛性などがありますが、応力計算上、特に重要なのが曲げ剛性です。
曲げ剛性はEI(ヤング係数×断面二次モーメント)です。
・ヤング係数は、材料で決まる硬さです。「ヤングは硬い」(No.342参照)
・断面二次モーメントは、形で決まる硬さ(曲げ変形のしにくさ)です。

3.剛性は、RC造でも、SRC造でも、コンクリートだけで評価する。
①RC造
鉄筋のヤング係数は、2.05×(10の5乗)で、コンクリートのヤング係数の約10倍ですが、コンクリートに比べて断面積が非常に小さく、それにより断面二次モーメントIが非常に小さいので、鉄筋を無視し、コンクリートの(ヤング係数×断面二次モーメント)だけで評価します(=剛比を求めます)。
②SRC造
鉄骨の断面は比較的大きいですが、柱・梁の架構全体について、鉄骨がほぼ均等に入っているので、剛比に与える鉄骨の影響は小さいことから、コンクリートの(ヤング係数×断面二次モーメント)だけで評価します(=剛比を求めます)。

井澤ですいざわ

■問題1
普通コンクリートのポアソン比は、0.2程度である。(一級構造:平成19No.24
■問題2
コンクリートのせん断弾性係数は、一般に、ヤング係数の0.4倍程度である。(一級構造:平成20No.24


――――――――――――――――――――――
■解答
 問題1、2とも正
――――――――――――――――――――――

■ポアソン比とは
 縦ひずみに対する横ひずみの比。
 例えばポアソン比0.2だったら、
 縦に1伸ばすと横に0.2縮むということ。
 ・コンクリートは0.2
 ・鋼材は0.3

■せん断弾性係数とは
 せん断応力度とせん断ひずみ度との比。
 ・軸方向の(応力度/ひずみ度)がヤング係数。
 ・軸に直行する方向の(応力度/ひずみ度)がせん断弾性係数。
 コンクリート、鋼材ともにヤング係数の0.4倍程度
――――――――――――――――――――――

こんなもの、語呂合わせでも使わなければ覚えられないですよね?
ということで。 相当無理やりですが。

――――――――語呂合わせ―――――――――
「ポカして 0点に」
 ポアソン比 0.2
「船団は     ヤングの  天使」
 せん断弾性係数 ヤング係数 0.4
――――――――――――――――――――――
「船団」とは、若者の天使(?)の「艦これ(艦隊これくしょん)」のことです。戦艦が女の子になっているアニメですw

↑このページのトップヘ