TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

井澤ですいざわ

■問題1
第一種地盤で、建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合、振動特性係数Rtの値は、Tが長くなるほど小さくなる。(一級構造:平成27No.7)
■問題2
積層ゴムアイソレータを用いた免震構造は、地震時において、建築物の固有周期を長くすることにより、建築物に作用する地震力(応答加速度)を小さくすることができる。(一級構造:平成23No.20改)
■問題3
超高層建築物は、長周期成分が卓越する地震動に対して、低層建築物よりも影響を受けやすい。(一級構造:平成24No.26

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■解答
 問題1、2、3ともに正。
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一見すると関係ないように思われるかもしれませんが、実は大ありです。

■振動特性係数R
t
振動特性係数Rtは、地盤と建築物の共振を考慮した係数です。
地盤の固有周期と建築物の固有周期が一致すると共振により地震力が大きくなります。
一般的には、地盤よりも建築物の固有周期のほうが長いので、建築物の固有周期が長くなるほど、地盤の固有周期との差が大きくなり、共振が生じにくくなり、地震力が小さくなります。それを表すのが振動特性係数Rtです。
したがって、建築物の設計用一次固有周期Tが長くなるほど、振動特性係数Rtは小さくなります
※問題1の「建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合」というのは、「建築物の設計用一次固有周期が地盤の固有周期よりも長い場合」という意味です。

■免震構造
免震構造は、積層ゴムアイソレータ(アイソレータは絶縁という意味)などを履くことによって建築物の固有周期を長くした建築物です。これにより地盤の固有周期との差が大きくなり、共振が生じにくくなり、地震力が小さくなるのです。
原理はまさに、「建築物の設計用一次固有周期Tが長くなるほど、振動特性係数Rtは小さくなる」ことなのです。
もっとも、「積層ゴムアイソレータなどで地盤と絶縁されているから地震力が小さい」と考えたほうがイメージしやすいかと思いますが。

■長周期地震動
前回の№322で説明した、「設計用一次固有周期が長い」=「建築物の高さが高い」を思い出してください。
超高層建築物は固有周期が長く、地盤の固有周期との差が大きいため、地震力があまり大きくなりません。
ところが、長周期成分が卓越する地震動(長周期地震動)では、地盤の周期のほうが長くなるため、超高層建築物の固有周期との差が小さくなり、共振によって地震力が大きくなります。したがって、超高層建築物のほうが、長周期地震動の影響を受けやすいのです。

ほんだこんにちは、ホンダです。

昨年、TACの設計製図コースでは、一部の受講希望の方々に迷惑をかけてしまいました。

といいますのも、設計製図コースは教室ごとに定員制を採用しているため、受講をご希望されている複数の方々に、お断りをせざるを得ない状況になってしまったのです。

本年も設計製図コースにおいては、教室ごとに定員制を採用しているため、定員に達した教室は、 締切ということになります。
 ※ 締切が発生した教室は、HPと本ブログで公表いたします。
また、定員に達した教室では、初回の無料体験講義をご遠慮していただくこともあります。

少しでも多くの方々に受講いただけますよう、名古屋校の一級日曜クラスや二級土曜クラス、横浜校池袋校の一級土曜クラスなど、いくつか追加開講を決定しています。
それでも開講の間際には、多くの教室で定員に達してしまうことが予想されますので、ご希望の方は、できるだけ早めにお手続きをしていただければと思います。

本当にご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、講座のクオリティーを維持するためやむを得ない措置であることを、どうかご理解ください。  

井澤ですいざわ

■問題1
地震力を算定する場合に用いる鉄骨構造の建築物の設計用一次固有周期(単位 秒)は、建築物の高さ(単位 m)に0.03を乗じて算出することができる。(一級構造:平成27No.24
■問題2
高さ30mの鉄骨造の建築物の場合、設計用一次固有周期は、0.9秒とすることができる。(一級構造:平成7年No.18
■問題3
建築物の設計用一次固有周期Tは、建築物の高さが等しければ、一般に、鉄筋コンクリート造より鉄骨造のほうが長い。(一級構造:平成20No.9)

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■解答
 問題1 正。
 問題2 正。0.03×30m=0.9秒。
 問題3 正。

――――ポイント:設計用一次固有周期――――
設計用一次固有周期Tは、建築物の高さをh()とすると、
■RC造 T=0.02h(秒)
■S造  T=0.03h(秒)
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このポイント自体はそれほど難しくないと思いますが、この式から
「設計用一次固有周期が長い」=「建築物の高さが高い」
というイメージをしっかり持ちましょう。

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