TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

井澤ですいざわ

■問題
同じ鉄筋及びコンクリートを使用した場合、180度折り曲げ定着の必要長さ(次図)は、90度折り曲げ定着の必要長さ(次図)より短い。(一級構造:平成22No.13改)

hook

―――――――――――――――――――――
■解答
 誤。180度折り曲げ定着も90度折り曲げ定着も「必要定着長さ」は同じ。
―――――――――――――――――――――

「必要定着長さ」はフックの角度に関わらず一定
です。

180
度フックと90度フックを比較すると、90度フックのほうが抜けやすいと思うかもしれませんが、90度フックはその分、余長を「8d以上」と長くすることによって抜けやすさを同じにしているのです。

したがって、180度フック(余長4d以上)も、135度フック(余長6d以上)も、90度フック(余長8d以上)も「必要定着長さ」は同じです。

なお、「定着長さ」は「必要定着長さ」以上とします。
この長さを測るとき、末端のフック部分の長さは含みません。上図のとおり、折曲げ開始点までのの部分の長さを測ります。

「必要定着長さ」は、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度及びフックの有無によって決まります。例えば、SD345、コンクリートの設計基準強度が24/㎟であれば、フックなしで35d(dは異形鉄筋の呼び名に用いた数値)、フック付きで25dです(何度のフックであろうと!)。

井澤ですいざわ

■問題
SD345のD29の鉄筋に180度フックを設けるための折曲げ加工を行う場合、その余長は4d以上(dは異形鉄筋の呼び名に用いた数値)とする。(一級施工:平成25No.8改)


――――――――――――――――――――――
■解答 
――――――――――――――――――――――
フックは、鉄筋をかぎ状に曲げたもので、鉄筋が抜けないように、「直交する鉄筋」や「コンクリート」にひっかけるものです。
dは「異形鉄筋の呼び名に用いた数値」で、「鉄筋径」と思って下さい。
設問は「D29」です。「異形鉄筋の呼び名に用いた数値」とは、この「29」です。
すなわち、d=29です。
ちなみに「SD345」は、異形鉄筋(SD)で、降伏点の下限値が345/㎟であることを示しています。

――――ポイント:鉄筋の折曲げ形状――――
折曲げ角度が大きくなるほど、余長を短くすることができる。
180度フック・・・余長4d以上
135度フック・・・余長6d以上
 90度フック・・・余長8d以上
yotyou

(Dは鉄筋の折曲げ内法直径)
―――――――――覚え方―――――――――
この中で基本は「135度フック・・・6d以上」です。
【語呂合わせ】
(美人とすれ違って)「135度振り返るのはロクデなし(6d)!」
この値をしっかり覚え、180度フックは短い、90度フックは長い、と覚えましょう。
―――――――――――――――――――――

ワンパンマン井澤ですいざわ
(ワンパンマン、ご存知ですか? 佐藤先生にもたまにはググってもらいましょう

■問題1
鉄筋の組立てに用いるスペーサーの材質は、スラブ及び梁の底部では鋼製とし、柱、梁及び壁の側面ではプラスチック製とした。(一級施工:平成20No.8)
■問題2
片持ち庇のスラブ筋に用いるスペーサーについて、材質を施工に伴う荷重に対して耐えられる鋼製とし、型枠に接する部分には、プラスチックコーティングの防錆処理を行ったものを使用した。(一級施工:平成26No.8)
■問題3
基礎ばりの下端における鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを確保するために、モルタル製のサイコロ型スペーサーを1.5m間隔で使用した。(一級施工:平成15No.9)

――――――――――――――――――――――
■解答
 問題1 正
 問題2 正
 問題3 誤。モルタル製は強度が不足するため不可。1.5m間隔は適当。No.264参照。
――――――――――――――――――――――

No.264
で説明したとおり、スラブ等の水平鉄筋の位置を保持するものはサポートと呼ばれるのが一般的ですが、水平鉄筋の下端筋のサポートは、かぶり厚さの寸法の保持するのが目的のため、スペーサーとも呼ばれます。
結局、サポートもスペーサーもほとんど同じと考えて良いです。

――――ポイント:スペーサーの材質――――

■スラブ・梁の底部のスペーサー
 →原則として鋼製とする。
 →型枠に接する部分には、プラスチックコーティングの防錆処理
 →モルタル製は強度が不足するため不可

■柱・梁・基礎梁・壁などの側面のスペーサー
 →プラスチック製のスペーサーとしてもよい。
―――――――――――――――――――――

↑このページのトップヘ