TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

こんばんは。井澤いざわ&清田せいたです。

本日、二級建築士設計製図試験が行われました。
受験された方、本当にお疲れ様でした。
どこよりも早くエスキス例と速報を公開します!

さっそく今年の試験のポイントを解説していきます。
まずはさっそくエスキス例から見てみてください。

H26_資格の学校TAC_2級建築士設計製図答案例


●東西方向が16mという狭い敷地の南側に、玄関と3室を設ける計画
1階の南側に設けるべき室が、玄関のほかに、LDK、夫婦寝室、祖母室の3室あり、敷地の東西方向が16mと狭いため、エスキスをまとめるのに苦労したと思います。
1階に夫婦寝室を設けるプランは、TAC課題6でしっかり勉強しましたね!
祖母室、夫婦寝室の東西方向を1.5間(6畳、7.5畳等)とした人は、エスキスが順調にまとまったと思います。祖母室、夫婦寝室の東西方向を2間確保(8畳など)することに固執すると、夫婦寝室を北側に設けなければならなくなったり、延べ面積が180㎡を超えてしまったりしてしまいます。
夫婦寝室を北側に設けること自体は減点にはならないと思われますが、北東又は北西に計画し、2面開口を確保するという配慮が望まれます。
祖母室は、日常の長い時間を過ごすため、北側に計画してはいけません。

●延べ面積の上限が厳しい計画
延べ面積の上限が180㎡という厳しい条件でした。
皆さん、この範囲内で計画しましたね? 絶対条件ですよ!

●「車椅子の転落防止上有効な措置」とは?
屋外テラスと屋外スロープに「車椅子の転落防止上有効な措置を講ずる。」という条件がありましたが、ズバリ「手摺」のことです。要求図書の特記事項の中で、1階平面図兼配置図にその措置の記入が要求されていましたので、「手摺」と書いておく必要があります。

●注目の部分詳細図の位置は「基礎及び床の部分」でした。
TACでは、課題1、4、7でしっかり勉強しましたね!
奇抜なところは出題されないことがお分かりになりましたね!
ここが出るかもしれない、あそこが出るかもしれないとあおられて戸惑った受験生も多かったのではないでしょうか?「受験生に過度な負担を強いない」という試験問題作成の方針があるわけですから基本的な部分がしっかり描ければ十分対応できましたね。

以下、課題文の順番に読み取りのポイントを解説していきます。

まずは「設計条件」から。
●屋内用車椅子と屋外用車椅子を兼用する計画(設計条件①)
玄関に屋内スロープを設ける計画でした。
TACでは、しょっぱなの課題1でしっかり勉強しましたね!
要求室の表の中で、玄関に「車椅子のタイヤの汚れを落として屋内に乗り入れることができるスペース」が要求されましたので、スロープ、下足入れの部分を除いて玄関ホールの土間部分に心々1,500mm×1,500mm以上のスペースを確保し、要求図書の特記事項にしたがって、その範囲を斜線にて明示する必要がありました。

次は「要求室の表」から。
●居間・食事室・台所
「1室又は2室にまとめてもよい。」という条件でしたので、計画し慣れたLDK1室で計画すれば良かったでしょう。また、「食事室には、テーブル及び椅子(計5席以上)を設ける。」という条件でしたが、車椅子のスペースを含めて5席設ければ良いでしょう。
●祖母室
「ベッドの周囲に介助に配慮したスペースを設ける。」という条件でしたので、ベッドを壁付けにせず、両側に介助スペースを確保する必要がありました。
●洗面脱衣室、浴室
「心々1,820mm×2,275mm以上」という条件でした。合計して1,820mm×4,550mm(1間×2.5間)で計画すると計画しやすかったでしょう。
●予備室
予備室は北側に計画してもまったく問題ありません。
●多目的スペース
予想外の要求でしたが、2階の夫婦寝室の代わりと考えれば問題なく計画できたと思われます。「夫婦及び子どもが読書・談話など自由に利用する。」という条件でしたので、南側に設けるべき室といえます。
●納戸
設置階は適宜でした。1階に設けるのは面積的に厳しいため、2階にだけ設けてあれば十分です。

続いて「要求図書の特記事項」です。
屋外テラスには、直径1.5m以上の円(破線)を記入
漏れなく描けたでしょうか。
1階平面図兼配置図に「各要求室(便所()及び浴室を除く。)の床高」を記入
漏れなく描けたでしょうか。
●便()に「洋式便器、手洗い器」を記入
健常者用の便所ですが、手洗い器を漏れなく描けたでしょうか。
●2階床伏図に「火打梁の代わりに、構造用面材による床組とする場合」の補足がありましたが、計画し慣れた火打梁で計画すれば問題なかったでしょう。
●立面図
立面図に「建築物の最高の高さ」を記入するという条件でした。漏れなく描けたでしょうか。また「屋外テラス及び屋外スロープの車椅子の転落防止用の措置については、記入しなくてよい。」という条件でしたが、手摺は図示するべきです。
●断面
切断する室、切断方向ともに指定がありませんでしたので南北方向で切断すれば作図時間が短縮できましたね。また、見え掛かりの建物や開口部(室の対向面に見えるもの)を記入する指定もありませんでした。
●計画の要点等
②で「各室の配置について、家族による祖母の介護のしやすさを考慮して工夫した点」が要求されました。祖母室と夫婦寝室を近くに設ける計画が求められていたと言えます。

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答案例 その2はこちら→
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TAC動画チャンネルにて「二級 設計製図試験 合格答案のポイント」を配信開始しました!

受験された方、本日は本当にお疲れ様でした!


 

井澤ですいざわ
今回はかなり長文ですよ。
次の問題は「法規」で出題されたものですが、「計画」で出題される可能性もあります。
法令集に頼らず、暗記していなければならない内容です。

■問題1
建築士事務所に属する一級建築士は、直近の一級建築士定期講習を受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年以内に、次回の一級建築士定期講習を受けなければならない。
(一級法規:平成21No.23

■問題2
構造設計一級建築士とは、原則として、一級建築士として5年以上構造設計の業務に従事した後、登録講習機関が行う所定の講習の課程を修了し、構造設計一級建築士証の交付を受けた一級建築士をいう。
(一級法規:平成22No.22

――――――――ポイント―――――――――――――
①定期講習・・・3年以内ごとに受けなければならない
②構造設計一級建築士講習の受講資格要件
          ・・・一級建築士として5年以上の実務経験
               (設備設計一級建築士講習も同様)

③管理建築士講習の受講資格要件
          ・・・建築士(一級でも二級でもよい)として3年以上の実務経験
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■問題1解答・・・誤。「5年以内」ではなく「3年以内」が正しい。
  問題2解答・・・正
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【解説】
①の定期講習には次の5つがあります。
それぞれの建築士になった後に、知識及び技能の維持向上のために受講しなければならない講習です。
・一級建築士定期講習
・二級建築士定期講習
・木造建築士定期講習
・構造設計一級建築士定期講習
・設備設計一級建築士定期講習
なお、管理建築士の定期講習はありません。

②③の「構造設計一級建築士講習」「設備設計一級建築士講習」「管理建築士講習」
は、それぞれの建築士になるために受講しなければならない講習です。
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【特に紛らわしいところ】
前述したとおり、「構造設計一級建築士講習(②)」と「構造設計一級建築士定期講習()」は違います。
構造設計一級建築士になるための「構造設計一級建築士講習(②)を受講するためには、一級建築士として5年以上の実務経験が必要で、その講習に合格し、構造設計一級建築士になった後は、3年以内ごとに「構造設計一級建築士定期講習()を受け続けなければなりません。

井澤ですいざわ

前回に引き続き、今年の本試験問題から。

■問題
実施設計段階においては、主に、建築主から提示された要求と様々な条件とを対応させてどのような方法によって空間化するかを検討し、それに続く、基本設計段階においては、主に、設計意図を工事施工者等に伝える図面を作成する。
(一級計画:平成26No.1)

常識で解けなければならない問題ですが、あらためて基本設計と実施設計の違いを説明せよ、と言われるとすぐには答えにくいですね。

――――――――ポイント――――――――
基本設計・・・「建築主」に設計内容を伝えるためのもの
実施設計・・・「施工者」に設計内容を伝えるためのもの
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■解答
 誤。実施設計と基本設計が逆です。

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