こんばんは。TAC建築士講座の神部です。かんべ

本日、一級建築士「設計製図の試験」の課題が発表されました。
早速ですが、今年度課題の分析をしていきたいと思います。

今年度の課題は、「温浴施設のある道の駅」と発表されました。
1級建築士試験において、初めての出題課題です。
そこで、道の駅とは何か、求められる機能と計画空間の要素は何かを、現実の「道の駅」を検証しつつ、試験課題としてピックアップすべき特色及び計画上の留意点を整理してみましょう。

〔課題テーマの概要〕
1.「道の駅」とは
 「道の駅」とは、一般道の利用者に各種のサービスを提供する休憩施設です。現代では、長距離ドライブが増え、女性や高齢者のドライバーが増加する中、道路交通の安全で円滑な「ながれ」を支えるため、一般道にも安心して自由に立ち寄ることのできる休憩施設、かつ、その他のサービス施設としての「道の駅」の需要があります。
道路管理者が駐車場、トイレなどの「休憩施設」を整備し、市町村などが地域振興施設として、その他の「サービス施設」を設置・運営するという方式が基本ですが、近年は市町村が単独で整備することもあります。
※「道の駅」登録・案内要項(国土交通省道路局)
発表課題の講評2014ブログ用-1

2.「道の駅の機能」と「課題の特色」
 国土交通省による「道の駅」の基本的な機能は、「休憩機能」、「情報発信機能」、「地域の連携機能」の三つとされています。ドライバーは、「道の駅」に単なる通過途中の休憩所にとどまらず、次表のようなニーズを持っています。これらの欲求を満足することが、道の駅がドライバーと地域とのふれあいの場として賑わい、魅力あるランドマークとなり地域振興につながるものと考えられます。したがって、これらのニーズが、そのまま試験の主要なテーマとしても取り上げられることになると思われます。また、道の駅の登録における配慮事項として、「年少者、高齢者、障害者等、様々な人の使いやすさに配慮すること」、「景観に十分配慮し、地域の優れた景観を損なうことのない施設計画」が挙げられており、これも試験における重要なテーマとなります。

発表課題の講評2014ブログ用-2


〔計画上のポイント〕
これらをふまえて、今年度課題の計画上の重要ポイントを探ってみましょう。

1.立地条件
 試験の出題傾向をふまえれば、市街地に立地するものよりも、市街地郊外の自然環境や景観に恵まれた山間部や、海岸線を望む景勝地などが立地条件となることが十分に考えられます。

2. 駐車場の配置と施設へのアプローチ
 駐車台数は、100台~200台程度が考えられます。ただ、試験における標準的な計画敷地内にすべて収容することは不可能であるため、隣接地に駐車場用地が確保されるか、又は、駐車場用地を含む事業敷地内に施設の計画敷地が示されるケースが考えられます。利用者の施設への主要なアプローチは、原則、駐車場からとなります。ただし、遊歩道などがある場合にはその動線にも配慮する必要があります。また、サービス用のアプローチは、原則、駐車場からとなりますが、二面道路敷地であれば、もう一方の道路からアプローチさせる場合も考えられます。

3.建築物の規模
要求図書の条件から、地上2階建であり、また、答案用紙から想定しうる計画敷地寸法から、建築物の延べ面積は2、000㎡前後の規模と推定することができます。

4.考えられる施設の「空間構成」及び「屋外施設」
① 利用者部門

 A.休憩機能
  (1)駐車場
  (2)共同便所及び休憩室
  (3)売店(飲料・ファーストフード)、自販機コーナー
  (4)屋外休憩スペース、子供広場
 B.情報発信機能
  (1)案内所・掲示板(道路交通情報・気象情報・観光案内)
  (2) 電話・FAX・インターネットコーナー
 C.地域の連携機能
  (1)特産品販売所 
  (2)レストラン
  (3)展示スペース(地域の歴史・文化・産業の紹介)
  (4)体験工房又はコーナー 
  (5)温浴施設(共同浴場)
  (6)屋外イベント広場

② 管理部門

(1)事務・職員用諸室
 管理事務室、従業員用の休憩室・更衣室等
(2)設備・サービス用諸室
 空調設備、給排水設備・給湯設備、電気設備の機械室、厨房・パントリー(配膳室)、搬入・荷解き室、売場の商品倉庫、特産品の加工所など
(3)その他
 平成16年に発生した新潟県中越地震を契機に、地域の防災拠点としての役割も期待されており、非常食糧や飲料水の備蓄倉庫、非常用電源、防火水槽、断水時にも使用できる便所などの要求が想定されます。

発表課題の講評2014ブログ用-3

5.利用時間帯によるゾーンの区画
 休憩機能を中心とした24時間利用できるゾーンと夜間は閉鎖するゾーンを夜間シャッターなどにより明確に区画する必要があります。

6.主要な歩行経路のバリアフリー化
 年少者、高齢者、オストメイトなどの障害者等に配慮した便所、歩行経路の計画が求められます。特に車いす使用者用駐車スペースは、一般駐車場ではなく施設の計画敷地内に設け、できるだけ共同便所及びエントランスから近い位置に計画する必要があります。

7.便所の計画
 駐車台数及び建築物の規模から、男女別にそれぞれ、多機能型便所を含めて各15台~20台の便器の計画が必要と考えられます。

8.景観・良好な環境を取り入れた計画
 今年度の課題では、日照条件を特に重視する必要はなく、「良好な景観・眺望の得られる方向」が重要となり、「景観を取り入れた」諸室の配置計画や自然採光や通風の確保が重要な採点のポイントになると思われます。

9.建築物の外観
 「地域の優れた景観を損なうことにない施設計画」が求められることから、昨年に続き、「勾配屋根」の計画が求められると思われます。したがって、勾配屋根を活用した室内空間の計画及び構造計画が求められることになります。

10.設備スペース
 温浴施設があることから、セントラル給湯設備として計画するのが順当です。ボイラー、貯湯層、循環ポンプ、ろ過装置、膨張タンクなどが必要となりますから、適切な大きさの設備スペースの計画が求められます。


今年度の課題は、主要道路と駐車場及び建築物の建設用地の配置、そして良好な景観を取り入れられる方位によって、アプローチ計画、所室の眺望に配慮した配置について、多くのバリエーションが考えられる課題です。
ですので、基本となる敷地条件をしっかりと絞って、学習を効率よく進めて行くことが大事だと思います。

以上、平成26年度一級建築士「設計製図の試験」の課題分析でした。

みなさん、一緒に頑張りましょう。かんべ


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