井澤ですいざわ

最近、業界新聞や専門誌で「ECI方式」をたびたび目にします。
一級建築士試験では「計画」の「マネジメント」の分野で、発注方式が出題されますので、新規問題対策としてぜひ覚えておいてください。

―――――――――――――――――――――――――
■問題
発注方式におけるECI方式とは、設計段階から施工者が関与する方式であり、施工者は工事契約とは別途契約する「設計業務への技術協力」を実施し、その期間中に施工の数量・仕様を確定した上で工事契約をする方式をいう。(オリジナル)
―――――――――――――――――――――――――

■解答 正

―――――――――――――――――――――――――

ECI
は、Early Contractor Involvementの略です。
アーリー(早期)」に「コントラクター(請負者・施工者)」が「インボルブメント(関与)」するという意味です。

設問のとおり、ECI方式とは、
設計段階から施工者が関与する方式であり、施工者は工事契約とは別途契約する「設計業務への技術協力」を実施し、その期間中に施工の数量・仕様を確定した上で工事契約をする方式をいいます。

ECI方式が注目されている大きな理由は、白紙撤回前の
新国立競技場整備計画で採用されていたからです。
設計段階で屋根工区は竹中工務店、スタンド工区は大成建設が技術協力をしていましたよね。
なお、白紙撤回後の新整備計画では、正確にはECI方式とは異なるものの、設計段階から施工者が関与する方式は踏襲されています。

―――――――――――――――――――――――――
ECI方式は、「
設計と施工の発注方式」の分類の一つです。
主に次の3つがあります。
①設計・施工分離発注方式
 (工事の施工のみを発注する方式)
②設計・施工一括発注方式
 (デザインビルド方式)
③設計段階から施工者が関与する方式
 (ECI方式)
―――――――――――――――――――――――
一方、似たものに、工事(施工)の発注のみに注目した「工事発注方式」の分類があり、主に次の3つがあります。これについては平成24No.20で出題されています。
①一括発注方式
 建築工事、各種設備工事等を分離しないで、元請会社に一括して工事発注する方式。
②施工分離発注方式
 一般に、建築工事と各種設備工事に分ける等、工事請負契約を工事種別ごとに行う方式。
③コストオン方式
 一般に、建築主が専門工事業者を選定し、工事費を決定したうえで、その工事費に元請の管理経費を加えて建築の元請会社に工事発注する方式。
―――――――――――――――――――――――――
さて、ECIは、アーリー「コントラクター」インボルブメントであって、「コンストラクター」ではないのです。
今回はもう「おなかいっぱい」でしょうから、この内容については次回お話しましょう。