井澤ですいざわ

■問題1
高炉スラグを利用した高炉セメントを構造体コンクリートに用いることは、再生品の利用によって環境に配慮した建築物を実現することにつながる。(一級構造:平成21No.30
■問題2
アルカリ骨材反応の抑制対策として、高炉セメントB種を使用することは有効である。(一級施工:平成19No.11
■問題3
セメントミルク工法に用いるセメントについては、地下水に硫酸塩を含む場所であったので、高炉セメントを使用した。(一級施工:平成24No.7)
■問題4
コンクリートに使用するセメントを普通ポルトランドセメントから高炉セメントB種に変更したので、コンクリートの材齢によるせき板の最小存置期間を、普通ポルトランドセメントの場合の最小存置期間より長くした。(一級施工:平成22No.9)

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■解答
 問題1~4まで、すべて正
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高炉セメントとフライアッシュセメントを混合セメントといいます。
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■高炉セメント
 普通ポルトランドセメントの一定量を高炉スラグ(製鉄中のカスの微粉)に置換したセメント。
■フライアッシュセメント
 普通ポルトランドセメントの一定量をフライアッシュ(石炭燃焼後の灰)に置換したセメント。
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高炉スラグ、フライアッシュの混合量が多くなるにつれて、A種、B種、C種と呼ばれ、B種が多用されています。例えば、高炉セメントB種では、普通ポルトランドセメントの3060%が高炉スラグに置換されます。

したがって、高炉セメントB種、フライアッシュセメントB種は、
普通ポルトランドセメント(以下、単に「セメント」という)の量が減るため、セメントの欠点が解消され、逆に、セメントの利点が減少します。

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ポイント:高炉セメントB種、フライアッシュセメントB種の特徴

①省資源・省エネルギー
高炉スラグはカス、フライアッシュは灰です。つまり、再生品・副産物ですから省資源・省エネルギーです。

②アルカリ骨材反応が抑制される。
アルカリ骨材反応とは、「セメント中のアルカリ金属」と骨材中のシリカが反応してシリカゲルができ、吸水膨張してコンクリートがひび割れする現象です。
セメント量が減れば、反応するアルカリ金属が減るので、アルカリ骨材反応が抑制されます。

③化学的抵抗性が大きい。
アルカリ骨材反応の抑制が、まさに化学的抵抗性が大きいという例です。
また、地下水にコンクリートの硬化を阻害する硫酸塩が含まれる場合にも有効です。

④中性化速度は速くなる(欠点)
セメントはアルカリ性のため、中性化を防ぐ利点があります。
セメント量が減れば、アルカリ性が低下し、中性化速度は速くなります。

⑤せき板の最小存置期間は長くなる(欠点)
セメント量が減れば、コンクリートの硬化は遅くなります。したがって、せき板の最小存置期間は長くなります。
なお、A種は、混合量が少なく、最小存置期間は普通ポルトランドセメントと同じです。
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