井澤ですいざわ

今回は、№
323と№324の復習です。
建築物の設計用一次固有周期Tに注目して、№323で説明した「固有周期Tと振動特性係数Rtとの関係」と、№324で説明した「固有周期Tと地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数Aiとの関係」を比較整理しましょう。

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■問題1(№324一部改)
地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数Ai は、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど大きくなる。(一級構造:平成25No.8改)
■問題2(№323問題1一部改)
振動特性係数Rtは、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど小さくなる。(一級構造:平成27No.7改)

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■解答
 問題1、2ともに正
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どちらも正です。
大小が逆になるので、しっかり比較整理しましょう。

――ポイント:固有周期TとA
i・Rtの関係――

 

地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数Ai

振動特性係数Rt

係数の説明

1つの建築物の中で、1階と比べて、上階が何倍揺れるかを表す。

固有周期Tの異なる別々の建築物について、それぞれの1階の揺れの大きさを表す。

固有周期Tとの関係

iは、固有周期Tが長いほど大きくなる。

振動特性係数Rtは、固有周期Tが長いほど小さくなる。

固有周期Tとの関係の説明

まず、「固有周期Tが長い」=「建築物が高い」である。
建築物が高いほど、1階と比べて上階が大きく揺れるので、建築物の固有周期Tが長いほどAiは大きくなる。

固有周期の長い(高い)建築物の1階は、固有周期の短い(低い)建築物の1階より揺れが小さい。
なぜなら、建築物の固有周期が長くなるほど、地盤の固有周期との差が大きくなり、共振が生じにくくなり、地震力が小さくなるから。


復習として№
321の問題1も思い出してください。
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■№321問題1
地震地域係数Zが1.0、振動特性係数Rt0.9、標準せん断力係数C00.2のとき、建築物の地上部分の最下層における地震層せん断力係数C10.18とすることができる。(一級構造:平成20No.9)
■解答
 問題1 正。最下層のAi1.0であるから、
 Ci=Zti01.0×0.9×1.0×0.20.18
 なお、設問のC1の「1」は、最下層(1階)の1
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1階(最下層)の地震層せん断力係数C1はこのようにRtなどを用いて計算しました。
さらに、この建築物の5階の地震層せん断力係数を求めようとする場合は、5階のAiを別途複雑な式で算出して、例えばAi2.0と算出されたら、1階の2.0倍という意味ですから1階の0.18という数値を2.0倍すれば、5階の地震層せん断力係数が算出されます。