井澤ですいざわ
今回も構造特性係数を扱います。
苦手な方が多いと思いますが、踏ん張りどころです

■問題1
剛節架構と耐力壁を併用した鉄筋コンクリート造の場合、柱及び梁並びに耐力壁の部材群としての種別が同じであれば、耐力壁の水平耐力の和の保有水平耐力に対する比βuについては、0.2である場合より0.7である場合のほうが、構造特性係数Ds を小さくすることができる。(一級構造:平成20年No.21
■問題2
鉄骨造の建築物の必要保有水平耐力の検討に当たって、ある階の保有水平耐力に占める筋かい部分の水平耐力の割合が50%となる場合は、筋かいのない純ラーメンの場合に比べて、構造特性係数Dsを小さくすることができる。(一級構造:平成25年No.25

――――――――――――――――――――――
■解答
■問題1、2ともに誤。
RC造でもS造でも「耐力壁・筋かい(脆性部材)の水平力分担率βu」が大きくなると、靱性が低くなり、構造特性係数Dsは大きくなります。いわば「力」だけで耐えなければなりません。
なお、問題1の「剛節架構」とはラーメン架構のことです。
問題2の「ある階の保有水平耐力に占める筋かい部分の水平耐力の割合」とは「耐力壁・筋かいの水平力分担率βu」です。「筋かいのない純ラーメン」ではβuは0です。
――――――――――――――――――――――

この設問を理解する上で、はじめに次の関係を確認しておきましょう。
――――――――――――――――――――――
・必要保有水平耐力を決める要素の一つに、構造特性係数Dsがある。
・構造特性係数Dsを決める要素に、「耐力壁・筋かいの水平力分担率βu」や「柱・梁の種別(FA~FD)」「耐力壁の種別(WA~WD)」などがある。
――――――――――――――――――――――

設問は「構造特性係数Ds」と「耐力壁・筋かいの水平力分担率βu」の関係についての問題です。
柱・梁の種別(FA~FD)」「耐力壁の種別(WA~WD)」については次回扱いましょう。

前回のポイントを思い出してください。
―――――――前回のポイント――――――――
靱性が高いと、
構造特性係数Dsは小さくなる。
必要保有水平耐力も小さくなる。
――――――――――――――――――――――

これに次のポイントが加われば、今回の問題が解けます。
―――――――今回のポイント――――――――
RC造であれば耐力壁、S造であれば筋かいが多くなると
(=耐力壁・筋かいの水平力分担率βuが大きくなると)
強度は大きくなるが、靱性が低くなる。
――――――――――――――――――――――

今回のポイントを理解するために、まずは次の内容を理解しましょう。
 

部材

靱性部材or脆性部材

柱・梁

変形能力に優れた靱性部材

耐力壁・筋かい

強度は大きいが、変形能力に乏しい脆性部材


horizontal load-carrying capacity_3


保有水平耐力のうち、「靱性部材である柱・梁」と「脆性部材である耐力壁・筋かい」が何%ずつ負担するのか、を表すのが「耐力壁・筋かいの水平力分担率β
u」です。

図中、「β
u=0.3」の意味は、「脆性部材である耐力壁・筋かい」が保有水平耐力の3割を負担しているということです。逆に、残り7割は、「靱性部材である柱」が負担していることになります。したがって、「βu=0.3」は「βu=0.7」よりも靱性が高いのです。


ポイント:「耐力壁・筋かいの水平力分担率β
u」と靱性・構造特性係数のポイント
 

βu

耐力壁・筋かいの水平力分担率βuが小さい

耐力壁・筋かいの水平力分担率βu が大きい

 

脆性部材

耐力壁・筋かい(脆性部材)が少ない

耐力壁・筋かい(脆性部材)が多い

靱性部材

柱・梁(靱性部材)が多い

柱・梁(靱性部材)が少ない

RC造の例

ラーメン構造

壁式構造

S造の例

筋かい少ない

筋かい多い

 

靱性

靱性が高い

靱性が低い

 

構造特性係数

構造特性係数を小さくできる

構造特性係数が大きくなる