井澤ですいざわ

No.332
から334まで構造特性係数Dsがテーマでした。難しかったですね。
今回はあまり難しくない形状係数Fesです。

■問題
各階の保有水平耐力の計算による安全確認において、一般に、偏心率が所定の数値を上回る場合や、剛性率が所定の数値を下回る場合には、必要保有水平耐力を大きくする。(一級構造:平成25No.25

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■解答 正。

「保有水平耐力」が「大地震時の地震層せん断力Qud」以上であれば、大地震でも基本的には倒壊しないのですが、
平面的な剛性分布のバランス(偏心率)や高さ方向の剛性分布のバランス(剛性率)悪ければ、「保有水平耐力」として最低「必要」な値、すなわち「必要保有水平耐力」を大きくしなければなりません。そのための補正係数が「形状係数Fes」です。

――――――――ポイント――――――――

(必要保有水平耐力Qun)=(構造特性係数Ds)×(形状係数Fes)×(C01.0の大地震時の地震層せん断力Qud
■大地震時の地震層せん断力Qud
必要保有水平耐力のベースとなる値。
■構造特性係数Ds
靱性が高ければ、必要保有水平耐力を「大地震時の地震層せん断力Qud」より小さくしてもよい。そのための係数。1以下。
■形状係数Fes
剛性のバランスが悪ければ、必要保有水平耐力を「大地震時の地震層せん断力Qud」より大きくしなければならない。そのための係数。1以上。
偏心率(平面的な剛性分布のバランス。剛心と重心のズレ。)0.15を上回る場合や、剛性率(高さ方向の剛性分布のバランス)が0.6を下回る場合は、剛性のバランスが悪いため、形状係数Fesが大きくなり、必要保有水平耐力が大きくなる。
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なお、F
esのアルファベットの意味は次のとおりです。
F:Factor(係数)
eeccentricity(偏心率)
sstiffness(剛性率)