井澤です
■問題1
SN490材の許容引張応力度は、板厚による影響を受けないので、板厚25㎜と50㎜とでは同じ値である。(一級構造:平成21年No.15)
■問題2
同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」より「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。(一級構造:平成22年No.29)
■問題3
SN490Bについては、降伏点又は耐力は板厚が40mmを超えると低下するが、引張強さは板厚が100mm以下まで同じである。(一級構造:平成18年No.25)
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■解答
問題1、2ともに誤。
板厚が40mmを超えると、製造過程で冷却にむらができやすく、降伏点が低下する。鋼材は降伏点を基準強度としており、それに基づく許容応力度も小さくなる。
問題3 正。
なお、設問の中で「板厚が100mm以下まで」と書いてあるのは、JIS G3136(建築構造用圧延鋼材)に板厚100㎜以下までしか規定されていないからです。
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さっそくポイントを確認しましょう。
――ポイント 鋼材の板厚と降伏点・引張強さ――
■降伏点
板厚が40mmを超えると(=板厚が厚くなると)、熱処理時の冷却にムラができやすく、降伏点が低下する。
■引張強さ
引張強さは、板厚にかかわらず同じ。
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コメント
コメント一覧 (3)
とても分かりやすく素晴らしいです。NO.340で鋼材のように「引張強さ」で表すのが基本的な考え方と言えます。SN400は引張強さの下限値という意味と書かれておりますが、なぜ、NO.355では鋼材は降伏点を基準強度としており、それに基づく許容応力度も小さくなる。と降伏点が基準になるのでしょうか?教えて下さい。
応援ありがとうございます。
鋼材の基準強度は引張強さではなく、降伏点で定められています。
したがって、基準強度Fの何倍、という形で定められている許容応力度も、引張強さではなく、降伏点で決まります。
板厚が40mmを超えると、引張強度は同じでも降伏点が低下するため、許容応力度も小さくなります。
鋼材の基準強度、降伏点、許容応力度の関係については、No.388(木材の積雪時以外の許容応力度)の「鉄筋・鉄骨の許容応力度」の図を参照してください。
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/48798880.html
引張強さは板厚にかかわらず同じなのであれば、問題1は正ではないのですか?