井澤ですいざわ

■問題1
鉄骨造の建築物において、大スパンの梁部材に降伏点の高い鋼材を用いることは、鉛直荷重による梁の弾性たわみを小さくする効果がある。(一級構造:平成26No.30
■問題2
梁のたわみを小さくするために、SN400Bから同じ断面寸法のSN490Bに変更した。(一級構造:平成17No.17
■問題3
曲げ剛性に余裕のあるラーメン構造の梁において、梁せいを小さくするために、SN400B材の代わりにSN490B材を用いた。(一級構造:平成28No.17

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■解答
 問題1、2 誤
 鋼材は強度を大きくしてもヤング係数は変わらないので、たわみは同じ。
 問題3 正。
 強度を大きくすれば断面寸法(梁せい)を小さくすることができる。
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問題3は、平成
28年の出題です。
それ以前に出題されていた問題1と2だけを覚えていると、ひっかけ問題と感じるかもしれませんが、実は問題3のほうが直感と一致する内容です。

まずはポイントから。

―――ポイント:強度とたわみ・断面寸法―――
強度を大きくすると
たわみ小さくできない
断面寸法(梁せい)小さくできる
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少し詳しく見ていきましょう。
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■たわみについて
たわみは、例えば片持ち梁の先端に集中荷重が働く場合は、次の公式で求められます。
deflection
したがって、
たわみを小さくするためには、分母のE(ヤング係数=硬さ)を大きくするか、I(断面二次モーメント)を大きくする必要があります。

①ヤング係数E
 鋼材は強度を大きくしてもヤング係数Eは変わらないので、たわみは同じです。

②断面二次モーメントI
 断面二次モーメントIは、次の公式で求められます。断面二次モーメントIを大きくするためには断面寸法を大きくする必要があります。強度を大きくしても断面二次モーメントは変わりません。
moment of second order 
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■断面寸法(梁せい)について
直感と異なるのは前述の「たわみ」のほうであって、「断面寸法(梁せい)」のほうは直感で十分理解できるはずです。
一言で言えば、強度を大きくすれば、断面寸法(梁せい)が小さくても耐えられるということです。
少し専門的に言えば、許容応力度設計では「応力度≦許容応力度」を満たすことが求められます。
強度が大きければ、右辺の許容応力度が大きくなります。
左辺の応力度は一言で言えば、「力/断面積」です。(曲げ応力度は「曲げモーメント/断面係数」(M/Z)です。
したがって、右辺の許容応力度が大きくなれば、左辺の分母の「断面積」は小さくできます。つまり、断面寸法(梁せい)を小さくできるのです。