井澤ですいざわ

■問題1
群杭基礎の場合、通常、その水平耐力は、各杭を単杭とみなしたときの水平耐力の総和よりも小さい値となる。(一級構造:平成6年No.19
■問題2
群杭の引抜き抵抗力は、「群杭全体を包絡するブロックとしての抵抗力」と「各単杭の引抜き抵抗力の合計」のうち、大きいほうの値とする。(一級構造:平成19No.18
■問題3
1本当たりの鉛直荷重が等しい場合、群杭の沈下量は、一般に、単杭の沈下量に比べて小さい。(一級構造:平成17No.19

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■解答
問題1 正。n本の杭からなる群杭の水平耐力は、単杭の水平耐力のn倍よりも小さい。
問題2 誤。「小さいほうの値」とする。一般に、n本の杭からなる群杭の引抜き抵抗力は、単杭の引抜き抵抗力のn倍よりも小さい。
問題3 誤。群杭は、応力伝達範囲が大きくなり、沈下量が大きい。
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「群杭」
とは、杭が密集しているため、杭の支持力、抵抗、変位、変形に対して杭相互の影響を受ける複数の杭をいいます。
一方、杭の間隔が広く、周りの杭の影響を受けない杭を「単杭」といいます。

■群杭の支持力、抵抗
群杭は、全体が一つのブロックとして挙動します。
群杭の中央部分の地盤は群杭と一体になって挙動しますので、その部分の地盤の支持力、抵抗はあまり期待できません。
したがって、n本の杭からなる群杭の支持力、抵抗は、単杭のn倍よりも小さくなります。
したがって、問題1の「水平耐力」、問題2の「引抜き抵抗力」は、一般に、群杭のほうが小さくなります。

■群杭の沈下量
沈下量について、群杭は、全体が一つのブロックとして挙動しますので、底面積が大きな基礎と同様に、圧縮力が及ぶ応力伝達範囲が大きくなり、地盤の沈下量が大きくなります。
次図は、平板載荷試験に関して、直径30cmの載荷板と、実際の基礎では圧縮応力が及ぶ「応力伝達範囲」が異なることを示す図ですが、この「応力伝達範囲」で沈下が起こるわけですから、底面積が大きな基礎と同様に、群杭の沈下量が大きくなることが分かると思います。
internal force zone

―――ポイント:群杭――――――――――――
群杭は
■支持力、抵抗 → 小さくなる。
■沈下量    → 大きくなる。
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