井澤&佐藤です
いざわsato2

昨日、一級建築士設計製図試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
台風19号の混乱や不安のなかで受験された方も多かったのではないかと思います。

南北方向の縦長敷地で、敷地面積、建蔽率が小さく、短辺側の一面道路という敷地条件、さらに、スパン割りを工夫しないと計画がまとまりにくいという点で、難しい課題だったと言えます。
問題用紙は昨年に引き続きA2サイズで、計画の要点等の最後まででA3サイズを超えるという非常に長い課題文でした。

第一報のプランをUPします。

TAC plan 191014


今年の課題の主な特徴は次のとおりです。

1.敷地の特徴
① 南北方向の縦長敷地
南北方向に縦長の敷地のため、難易度が高くなっています。
② 敷地面積、建蔽率、床面積の合計が小さい
敷地が32m×48mと小さく、建蔽率が60%であるため、建築面積の上限は921.6㎡となります。
床面積の合計も2,000㎡以上2,400㎡以下と小さく、多目的展示室と屋上庭園の面積を過剰に計画すると床面積の合計の下限に近い計画となり、計画が難しくなります。
③ 短辺側の一面道路
短辺側の一面道路から、利用者のアプローチ、管理者のアプローチ、搬入トラックのアプローチを計画する、難易度が高い課題です。

2.スパン割りに工夫が必要
課題文の指定により設置階は迷わずに決められますが、スパン割りによって、各階の計画しやすさに差が生じます。
多目的展示室(200㎡以上)を7m×7mスパンで計画し、上部を屋上庭園で計画しようとすると、面積が過剰になり、他の部分の計画を窮屈にさせます。8mスパンを活用するのが有効です。

3.床面積の指定が複雑
「○○㎡以上(多目的展示室、創作アトリエなど)」と「約○○㎡」の違いのほか、「各展示室には「前室」及び「倉庫」を設ける。各展示室の床面積には、前室及び倉庫を含まないものとする。」の指定にも注意が必要です。

4.(短辺/長辺)の指定
多目的展示室、吹抜けでは「短辺/長辺を1/2以上」と指定され、屋上庭園では「10m四方以上」と指定されました。細長い形状は明確な減点となります。

5.屋上庭園
樹木を植栽するため、客土(きゃくど。外から搬入した土。)厚さ500㎜の部分を100㎡以上確保し、庭園内の通路と客土の上端を同レベル程度として計画することが求められました。

6.展示室への搬入経路の確保
計画の要点等(2)において「展示物等の移動に配慮した、荷解き室の搬入口から各展示室までの動線について考慮したこと」が求められましたが、多目的展示室、展示室A、B、Cの計4つの展示室すべてに利用者動線と交差しない搬入経路を確保することは難しい設定です。

7.補足図記入欄の図示指示
計画の要点等の(6)冷房時の日射負荷抑制、(7)屋上庭園の断面の構造等計画、(10)多目的展示室の空調用吹出し口の設置位置において、今年は補足図記入欄を必ず描くように求められました。例年「補足してもよい。」とグレーに表現されてきた部分です。

8.その他
① 地盤条件については「地盤は良好であり、杭打ちの必要はない。」という条件だけでした。
② バリアフリー法の「円滑化基準を満たすものとする。」と明記されましたが、「円滑化誘導基準」を満たした計画のほうが評価は高くなります。
③ 「「美術品収蔵庫」、「燻蒸室」、「修復作業室」を計画する必要はない。」と明記されました。
④ 「屋内ゴミ保管庫」が要求されました。
⑤ 「ポンプ室」が要求されました。給水方式は水道直結増圧方式を想定したものになります。「多目的展示室専用の空調機械室」及び「ポンプ室」以外は、すべて屋上設備スペースに設ける条件です。
⑥ トラックヤードが「2tトラック(6.2m×2m程度)が駐車できるものとし、荷解き室の搬入口に近接して設ける。」と要求されました。トラックの大きさが6.2m×2m程度なので、トラックヤードのスペースとしては6.5m×3m程度は必要です。

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長時間にわたる試験、及び、長きにわたる受験勉強、誠にお疲れ様でした。
果報は寝て待て、です。
しばらくはゆっくりと休んで下さい。
本当にお疲れ様でした。

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