本日、公益財団法人 建築技術教育普及センターより、
令和4年の二級建築士試験の「設計製図の試験」の合格発表がありました。

合格された皆様、本当におめでとうございます。


〇製図実受験者数  10,797名(11,450名)
〇合格者      5,670名(5,559名)
〇合格率      52.5%(48.6%)
●学科からの最終合格率 25.0%(23.6%)
※( )内は昨年

ランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳのそれぞれの割合は次のとおりで、「ランクⅠ」のみが合格となります。
ランクⅠ:52.5%(48.6%)(合格)
ランクⅡ: 7.7%(7.7%)
ランクⅢ:30.7%(31.9%)
ランクⅣ: 9.1%(11.8%)
※( )内は昨年

昨年より、合格率が製図試験は3.9%上がり、学科からの最終合格は1.4%上がりました。

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皆さん、こんにちは!

TAC二級建築士講師の岡部です。

まずは、合格された皆さま、本当におめでとうございます。

 

ここからは、今年の課題「保育所(木造)」について、建築技術教育普及センターの発表内容を受けて簡単な講評をしたいと思います。

 

今年の設計製図試験の全国合格率は「52.5%」でした。昨年は「48.6%」でしたので、やや合格率が上がりました。前回の木造の課題(令和2年)の合格率「53.1%」とほぼ同じで例年並みの難易度だったと言えます。

 

ランク別の割合では、ランクⅣ(失格)が9.1%と昨年より少なく、図面の未完成や主要な室の欠落など、大きな失敗をした人はやや少なかったことが分かります。

また、ランクⅢ(「知識及び技能」が著しく不足しているもの)が、ランクⅡ(「知識及び技能」が不足しているもの)よりも、かなり大きな数字ですので、致命的ではないが、細かなミスを積み重ねた結果、不合格となった人が多かったと考えられます。

 

建築技術教育普及センターの採点のポイントは以下の項目です。

(1)設計課題の特色に応じた計画

   ・乳児室、ほふく室及び保育室の計画

(2)計画一般(敷地の有効利用、配置計画、動線計画、設備計画、各室の計画等)

(3)構造に対する理解

(4)架構計画

(5)矩計に関する知識

(6)要求図書の表現

(7)設計条件・要求図書に対する重大な不適合

   ①木造2階建てでないもの

   ②要求図書のうち図面が1面以上未完成

   ③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)

   ④延べ面積が、「200㎡以上、250㎡以下」に適合していないもの

   ⑤要求室のうち、次のいずれかの室が欠落又は設置階が違っているもの(室名は省略)

   ⑥著しく非常識な計画(階段の欠落等)   

さらに解答の傾向として次のコメントがあります。

「未完成」、「設計条件の違反(延べ面積が不適当なもの、乳児室、ほふく室又は保育室の床面積が不足しているもの)」、「要求図書の違反(東側立面図ではない)」、「架構計画が不適切」に該当するものが多かった。

これらの項目が主要な採点ポイントですので、これらのすべてにわたって、大きなミスを犯すことなくプランニングを行い、図面を仕上げなければいけません。

 

今回の課題は、木造住宅で初めての専用施設でありましたが、採点ポイントは非常にオーソドックスな内容だったと思います。

・木造住宅の架構を理解して適切な計画を行っているか?

・「主要な居室は南側へ水廻りや階段は北側へ」「管理ゾーンと保育ゾーン」をはっきり分けるといったゾーニングを行っているか?

・各図面を適切に表現でき、不整合なく作図できているか?

 

1点注目されるのは、「設計条件の違反」に「乳児室、ほふく室又は保育室の床面積が不足しているもの」が上げられている点です。これは設計条件で示された「小規模保育事業による施設」の基準に則って計画することが求められたと考えられます。たとえば乳児室の場合、「乳児1人につき、3.3㎡以上とする(収納等の面積は含まない。)」と問題文に示されたのですが。これを単に3.3㎡×3名=9.9㎡と計算して壁芯で6畳(12P²)の室の大きさで設計するのはNG!収納や手洗い器を除いた内法寸法で考える必要がありました。(標準解答例では9畳(18P²)で示されています。)

 

保育所という専用施設の特徴を十分理解する必要があったということです。

 

さて、本年度課題を見た上で、設計製図試験に合格するためにどうすれば良いのかを考えてみますと、以下の対策が必要なことがわかります。

 

①構造を理解し適切に図面に表現する「製図力の強化」

②課題の特徴を理解し適切にプランにまとめる「プラン力の強化」

 

課題の発表は来年の6月ですので、②の「プラン力の強化」については今の時点で学習を始めることは難しいのですが、①の「製図力の強化」については今から始めることが可能です。

 

来年の課題は木造と考えられます。木造はRC造と比べ作図量が多い傾向にありますので、製図力の強化がまずは大事になります。「今年涙を飲んだ方」や「学科合格後、今回初めて製図試験を受験する方」は、是非とも早めに試験対策を始めましょう。

 

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