井澤ですいざわ
バリアフリー法の中で最も差が付く論点です。
ぼーっとしていると誤りに気が付きません。

[テーマ問題] (バリアフリー法)
■問題1(法規H25-30)
既存の建築物で不特定かつ多数の者が利用する建築物の所有者は、階段のけあげ及び踏面を所定の基準に適合する寸法とするよう努めなければならない。
■問題2(法規H25-26)
床面積の合計が2,000㎡の図書館に設ける階段のうち、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用するものは、踊場を除き、手すりを設けなければならない。
■問題3(オリジナル)
床面積の合計が2,000㎡の図書館における移動等円滑化経路上には、傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合を除き、階段又は段を設けてはならない。
■問題4(法規R05-26)
「建築物移動等円滑化誘導基準」においては、多数の者が利用する主たる階段は、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、回り階段とすることができる。

バリアフリー法には、大きく3つの数値基準があります。
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[比較暗記法]  バリアフリー法「3つの数値基準」

①建築物移動等円滑化基準

バリアフリー法14条1項に基づき同法令10条から25条までに規定。
2,000㎡以上の特別特定建築物に適合義務、それ以外の特定建築物に努力義務が課される。

【例】階段の「円滑化基準」は同法令12条に規定。
「主たる階段は、回り階段でないこと。ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、この限りでない。」(同法令12条六号)
【注意】ただし書があるところが下記③の【例】とは異なります。

移動等円滑化経路の基準

上記①の基準のうちの一つで、同法令19条に規定。
同法令19条1項各号に定める経路のうち1以上に適合義務又は努力義務が課される。
つまり、最低1の経路は②の基準、それ以外の経路は①の基準でよい。

【例】階段の「移動等円滑化経路の基準」は同法令19条2項一号に規定。
「当該移動等円滑化経路上に階段又は段を設けないこと。ただし、傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合は、この限りでない。」

③建築物移動等円滑化誘導基準

この基準は〔No.32〕(バリアフリー法と耐震改修法の「認定の申請」)で説明した「認定」を受けるための基準。
バリアフリー法17条3項一号に基づき「建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令(※)」に規定。

【例】階段の「誘導基準」は「建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令」4条に規定。
「主たる階段は、回り階段でないこと。」(同省令4条九号)
【注意】上記①の【例】のただし書(ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、この限りでない。)がありません。
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※正式名称は「高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき建築物特定施設の構造及び配置に関する基準を定める省令」(H18国土交通省令114号)

<③の「誘導基準」について>
認定は自主的に申請するものであり、認定を受けるための基準である「誘導基準」は、義務でも努力義務でもありません
したがって、「誘導基準」は試験問題として出題しにくく、近年12年までさかのぼってもテーマ問題4しか出題されていません。

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[テーマ問題の解答]
■問題1 誤。設問の建築物は用途が不明であり、特定建築物又は特別特定建築物に該当するか不明ですが、適合義務又は努力義務の対象となる「円滑化基準」には階段のけあげ及び踏面の規定はないので誤りです。なお、階段のけあげ及び踏面の規定は、誘導基準を定める省令」4条に定められており、この基準は法17条3項一号に基づく認定を受けるための基準であり、義務でも努力義務でもありません。
■問題2 正。バリアフリー法令12条一号。
■問題3 正。バリアフリー法令19条2項一号。
■問題4 誤。バリアフリー法17条3項一号及び建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令4条九号により、「誘導基準」では、多数の者が利用する主たる階段は、回り階段とすることはできません。なお、「円滑化基準」では、同法令12条六号ただし書により、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、回り階段とすることができます。