TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

一級建築士 設計製図対策

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清田(セイタ)です

試験実施を担う「建築技術教育普及センター」では、過去の本試験の課題・標準解答例などを合格発表後に掲載しています
実は平成30年以降、毎年、以下のような「不十分な回答(答案)が多かった内容についての考え方」を標準解答例の中で示すようになったことをご存じでしょうか

ちなみに平成30年の試験と言えば、課題発表時に建築基準法への適合(延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設等の適切な計画)に関して、初めて明示され、試験が大きく変わった転換の年なのですが、合格発表後に掲載された内容は以下のとおりです。
標準解答例 掲載内容
上記は、標準解答例をよく見て「今回引っかかったこれらの項目は、特に気を付けてね!」というメッセージですから、これから受験される方は十分気を付けて試験に臨む必要があります

そこで、以下に平成30年以降に示された「不十分な回答」な内容をまとめてみました。不十分な答案

あれ すべての年度に「延焼のおそれのある部分」、「防火区画」とありますね
毎年、そんなに記入漏れをしたり、間違える受験生が多いのでしょうか?もしかしたら、いつもは出来ているけど、本番に弱いという人が多いのかもしれませんね。
しかし、私には少々違和感があります。なぜか。

それは弊社TACも含め、資格スクールに通われている方などは、この2点はしっかりと指導され、十分に学習しているはずですから、そう簡単に間違えたりしないのでは?と思うからです。

真実は分かりかねますが、いずれにしても毎年こういった内容が示されているので、令和4年の試験こそ、ここに挙げられた項目について「不十分」と判断されないように、記入漏れ・間違いに十分注意し、またギリギリではなく安全側に余裕をもって計画するようにしましょう





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清田(セイタ)です

学科試験では過去問の研究が重要です
それと同様、設計製図の試験でも過去問の研究はとても大事だと思います
本試験の課題文は毎年、変化しています
今回は、その要求内容がどう変わってきたのかを見ていきましょう。

まず、ご存じの方も多いかと思いますが、平成17年に起きた構造計算書偽装問題を踏まえ、一級建築士の試験は平成21年に大きく見直しが行われました。
設計製図の試験の主な「試験制度の見直し」は、
試験制度の見直し
この見直しを受けて、平成21年以降、要求内容はどんな変遷をしてきたのでしょうか?
スライド1
(1)伏図の出題
平成21年~平成26年までは6年続けて伏図が出題されましたが、その後、平成27年~令和3年までの7年伏図の出題がパタッとなくなり、替わりに平面図3面の要求が続いています

伏図は、構造的に理解しているかを確認しやすい要求図面でしたが、一方で、伏図を要求することで、平面図が2面(または、小規模で3面)までしか答案用紙に入らないという制約がありました
平成27年以降、伏図の出題がなくなり「平面図3面」に変わったことで、自由度の高い出題が可能になった結果、3フロア分の空間構成の検討が必要となり、平面図2面の場合に比べて、計画の難易度が上がったと言えそうです。

また伏図の出題はなくなりましたが、構造の理解が問われなくなった訳ではなく、部材の断面寸法などは「計画の要点等」で確認されることになりました。その他にも、地盤略断面図が示され、「地盤条件に応じた基礎の計画」も問われるようになりました。構造に関しては、今後も引き続き幅広い知識が試されそうですね。

ちなみに、要求図面の「立面図」は平成17年以降1回も出題がなく、「矩計図(断面詳細図)」についても試験制度の見直し後、1回も出題がありません

(2)面積表
面積表については、平成27年まで「床面積」のみ記入が要求されていましたが、平成28年以降、床面積に加えて「建築面積」の記入が要求されています

(3)補足事項の明示
「各図面に計画上特に留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する」という要求も、同じく平成28年からです
なお、平成27年は「補足して明示してもよい」という、任意の要求でした。


このように、試験問題は過去の出題の仕方を引きずりながら毎年変化をしているので、その傾向を分析し、対策を立てることが大切です

他にも過去問の変遷がいろいろあるので、また別の機会にご紹介したいと思います。




こんにちは。

先日清田講師seita2が解説し、好評だった
オンラインセミナー「設計製図試験の基礎」のアーカイブ配信開始
令和4年合格を目指す方、是非視聴ください

setasan
https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku/tacchannel/-SFlWFj1hm8.html

▽▽初受験の方も、受験経験のある方で基礎力を強化したい方にもおすすめの講義▽▽

seita2
こんにちは、清田(セイタ)です

今週末、2/6(日)より、いよいよ「一級建築士設計製図 初受験対策講義(全4回)」が開講します

すでにお申込み済の方は、当日は必ず「製図板及び製図用具」をお持ち頂くことをお忘れなく
テキスト等の教材は当日配布致します。

場所 TAC新宿校
時間 2月6日〔日〕9時30分~

※WEBでお申し込みの方は、2/11(金)スタートとなります

この講座の対象者は、
●学科試験に既に合格したが、設計製図試験を見送って今年「初受験」の方
●令和3年に受験はしたものの、構造・設備・法規などの基礎的な内容や作図・エスキスに自信がなく、基本的な内容から学びたい方

といった方です。
基礎的なことを、今この時期に固めておくことは今年の合格に絶対に必要なことです

なお、2/2(水)現在、定員まであと数名だけ枠が残っているようなので気になっている方はお早めに

また、本講座は初回の「無料体験受講」はできませんのでご注意ください。
(※3月以降に開講する「早期講義(全7回)は「無料体験受講」ができます。)

さあ、10月の本試験に向けて、一緒に頑張りましょう



seita2
こんにちは、清田(セイタ)です

皆さんは設計製図試験の「吹抜け」の要求には様々なバリエーションがあることをご存じでしょうか

まずは「課題文の中のどこで要求されるのか」によって、過去には次の3パターンがあります。
エントランスホールの特記事項に「吹抜けを設ける」と要求(平成22・25・27・30年)
要求室表の上欄に「適切な場所に吹抜けを設ける」と要求(平成24・26年)
要求室の室名に「吹抜け」として要求(令和元年)

その他にも、次のような「吹抜けについての要求」があります。
1.3層吹抜け
建物が3階建てで、2層ではなく3層とする場合、「3層の吹抜けとする」や「1階から3階の吹抜けを設ける」と直接的な条件で要求されたり、「トップライトを設ける」という条件を付加されて、断面的な計画の制約をかけたりしてきます。
2.形状の要求
令和元年では「短辺/長辺を1/2以上の整形」といったように、形状についての要求もされてきており、近年はただ穴を開ければいいといった計画では通用しない傾向となってきています。
3.パッシブデザイン
平成28年、29年、30年で出題された「パッシブデザイン」を取り込むためのアイテムとしても「吹抜け」は有効になります。「計画の要点」の記述で問われることもあるので、記述対策も併せて行うとよいでしょう。
4.構造的な要求
平成26年、27年では、「その吹抜け部分は梁を設けない構造計画とする」といった要求があり、「構造グリッド単位で面積を確保する」か、「グリッドをまたいだ場合は大梁を設けない計画とする」といった対応が必要となります。吹抜け

以上、これから受験される方は「吹抜け」と一言で言っても、過去には様々な条件が要求されていることを知っておくべきでしょう



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