こんにちは講師の岡部です。
昨日の二級建築士学科試験を受験された皆様、本当にお疲れさまでした。
日頃の力を出し切ることは出来ましたでしょうか?
早速ですが令和4年 二級建築士学科試験の合格推定点と講評を公開いたします。
■TAC合格推定点
TAC合格推定点 60点以上
TAC各科目基準点 計画13点以上、法規13点以上、構造13点以上、施工13点以上
今年は施工が例年よりやや難易度が高かったものの、他の科目は標準的かやや易しい問題だったことから、総得点の合格推定点は60点以上と考えます。
なお、この推定点はTACが独自に算出したものです。実際の合格点とは異なる場合がありますことをご了承下さい。試験実施機関による正式な合格発表は8月23日(火)が予定されています。
それでは、講評です。
●計 画
標準的な難易度の問題でした。昨年は難易度が低く基準点が1点切り上がりましたが、今年は少し難易度が上がった印象です。西洋建築史や防災計画についての問題で難しい肢が出題されたり、案内用図記号のような目新しい出題がありました。しかし、全体的には過去問ベースの知識で解ける問題が大半のため、多くの方が基準点を確保できる問題だったと思います。
【建築史】No1は日本建築史の定番の問題です。円覚寺舎利殿は「和様」ではなく「禅宗様(唐様)」で、多くの方が正答を出せたはずです。一方、No2は西洋建築史の問題でしたが、こちらは難問でした。過去頻出の建築物が見当たらず、多くの方がてこずったと思います。建築作品の問題は覚えようとすればキリがありませんので、過去頻出の内容から押さえるようにすると良いでしょう。
【環境工学】No6の外皮平均熱貫流率を求める問題は近年なかった応用問題でした。やや難しいのですが、熱貫流の意味が理解できていると、なんとか正答を導き出せたかと思います。他の問題は、過去問ベースの基礎知識が身についていれば難しくない問題でした。
【計画各論】No15では、保育所の問題が出題されました。「保育所」は、設計製図の課題でもありますので、課題発表を受けて保育所について少し復習しておくと良かったかもしれません。No17の案内用図記号は新規問題です。誰も知らない問題ということになりますが、慌てずに基本的な知識を総動員して一つ一つの意味と記号を見合わせるようにすると正答出来る可能性は低くありません。
【建築設備】No23では、D種接地工事は300V以下という肢が正答肢(不適当)で、この細かい数値は過去に出題がありません。他の肢にも新規問題が含まれていますので、やや難しい問題と言えます。
●法 規
やや易しい~標準的な問題でした。毎年出題される計算問題(建築面積の計算や高さの計算など)はとてもオーソドックスな問題で、しっかり過去問に取り組んでいれば難しくない問題でした。文章問題も基本的な知識で解ける問題が大半であり、難しくない印象です。法規は、法令集が持ち込めますので高得点を稼ぐべき科目ですが、今年は高得点が狙えた方が多かったかと思います。
【建築基準法】No16の容積率の算定の基礎となる延べ面積を求める問題がやや難しい問題でした。宅配ボックス設置部分の面積控除などしっかり調べて計算する必要がありました。一方、No6の構造耐力上有効な軸組の長さを計算する問題やNo17の最高の高さを求める問題は、例年通りのオーソドックスな問題で過去問をしっかり練習していれば得点できたでしょう。文章問題も目立って難しい問題はありません。
【関係法令】No22建築士事務所に関する問題では、重要事項説明の書面の交付に代えて電子情報処理組織を使用する方法でもよいとする肢が出題されました。昨年改正のあった内容が早速の出題で多くの方が初めて目にする内容だったと思います。
●構 造
標準的な難易度の問題でした。構造力学の問題はやや目新しい形の計算が含まれているものの過去問ベースの知識で対応可能です。文章問題についても新規の肢がいくつか含まれているものの、やはり過去問ベースの知識で対応可能な問題が大半でした。
【構造力学】
No5の静定トラスは、これまでにない形をしたトラスの計算問題です。全体の形が三角形をしており、その比もよくある45°のものではありません。このため戸惑った方も多かったかもしれません。しかし、節点法の知識を生かして反力計算からしっかり行えば正答を得ることが出来ました。その他の問題は過去問をしっかりこなせば十分対応が可能でした。
【各種構造】
No12耐力壁の必要壁量を問う問題は、出題形式が過去問にありませんが、意味を理解していれば、難しくありません。No15鉄筋コンクリートの配筋についての設問の正答肢は、「梁降伏先行型の柱梁接合部に大梁主筋を通し配筋として定着する場合・・・」と表現が難しくやや解答に迷うところですが、過去問に類似の出題がありますので、こちらも過去問の知識が整理できていれば、なんとか正答を得ることが出来たかと思います。
【建築材料】
No24の正答肢「しっくいは水硬性である(×)」No25の正答肢「押出法ポリスチレンフォームは、耐火性に優れているので、・・・(×)」など、過去頻出の内容からの出題が大半でした。
●施 工
標準的~やや難しい内容でした。
新規の用語やスタッド溶接完了後の試験の誤差といった詳細な内容が多いためやや難しく感じます。さらに、新規の内容が正答肢となっている問題もありましたので、難易度は少し高めと思います。
【施工計画~仮設工事】
No1のネットワーク工程表の用語の問題でノード、ESTと見慣れない言葉が出題されましたが、間違いの肢はバーチャート、落ち着いて選べばよかった問題です。他も全て過去問ベースの知識で対応可能でした。
【各種工事】
No9型枠工事に関する問題は難問です。「梁を貫通する配管用スリーブには、紙チューブを使用した。」は誤りで、紙チューブは柱・梁への使用はNGです。No14補強コンクリートブロック造工事では、「水平目地のモルタルをフェイスシェル部分にのみ塗布した」が不適当で、これもやや分かりにくい問題だったと思います。
【測量・積算・請負契約】
No23、No24ともやや難しい問題で、さらにNo25は難問でした。No25は「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」における監理者が行う業務に関する記述です。監理者の業務については、この他に建築士事務所の開設者の報酬の基準に標準業務が定められており、混同しやすいところで、多くの方が間違ったのではないかと予想します。
総評は以上になります。全体的には標準的な難易度の問題でした。過去問を中心にしっかりと学習した方は合格推定点を十分突破されたのではないでしょうか?しっかり自己採点をして、次の準備を始めていきましょう。講評は以上になります。
合格見込みの方、次は設計製図試験です!
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詳細はこちらをご確認ください。
つかの間の休息をとった後、いよいよ設計製図試験に向けて頑張りましょう!
皆様の好結果を祈念しています
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