井澤です。
いよいよ今週末に一級建築士特別公開講義「設計製図プレ講義」が行われます。
http://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku/kenchiku_gd_gd.html#seizu
特別公開講義ということで、参加無料・予約不要で、受験生ならどなたでも参加できます。
そして、なんと基本課題1とテキストも無料で配付しています。
私は8/11(水)渋谷校9:30~17:30で講義を行います。
今年の課題の説明のほか、作図の指導も行いますので、製図用具をお持ちください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
建築士共通
一級建築士学科 №23について

ちょっと間があいてしまいましたが、
一級学科の試験翌日に法規の№23についてコメントした点について、
若干補足しておきます。
枝1は、士法10条4項の中央建築士審査会の同意の規定は、
士法9条では適用されないという結論でいいと思います。
一方、枝4は、まず、次の平成18年12月20日附則3条13項をご覧ください。
「この法律の施行の際現に旧建築士法第24条第1項の規定により置かれている建築士事務所を管理する建築士については、新建築士法第24条第2項の規定は、当該建築士事務所に引き続き建築士事務所を管理する建築士として置かれる場合に限り、施行日から起算して3年を経過する日までの間、適用しない。」
つまり、旧法の下での管理建築士を置いている場合、新法施行日から3年間は猶予するけど、
その後は新法24条2項を適用しますよ、といっています(経過規定といいます)。
ということで、士法24条2項です。
「前項の規定により置かれる建築士事務所を管理する建築士(以下「管理建築士」という。)は、建築士として3年以上の設計その他の国土交通省令で定める業務に従事した後、・・・中略・・・国土交通大臣の登録を受けた者(以下この章において「登録講習機関」という。)が行う別表第三講習の欄に掲げる講習の課程を修了した建築士でなければならない。」
そして、士法23条の4第1項では、建築士事務所の登録の絶対的拒否事由が定められており、その七号では、
「建築士事務所について第24条第1項及び第2項に規定する要件を欠く者」 とされています。
さらに、士法26条1項二号では、建築士事務所の登録の絶対的取消事由として、
「第23条の4第1項第一号、第二号・・・中略・・・又は第七号のいずれかに該当するに至つたとき。 」
としています。
つまり、3年経過しても講習を受講していない者を管理建築士として置いている事務所は、
原則として必ず登録を取り消すのであって、26条2項の裁量的な処分にはなりません。
さて、お気づきでしょうか。
枝1の9条は建築士に対する絶対的取消の規定であり、10条は裁量的な処分の規定です。
つまり、枝1でこの二つを区別して設問を設けているにも関わらず、
枝4では同じような関係にある士法26条1項と2項を区別していないかのような設問になっているのです。
うーん、№19と同じ結末になるのかな。。。
一級建築士学科 法規№6について
こんにちは、ホンダです
昨日の№19に続いて、
本日はスクールによって解答が分かれている№6について考えてみます。
試験翌日のブログでも書きましたが、枝1は令108条の3第1項二号の扱いがテーマです。
つまり、耐火建築物の主要構造部は、
耐火構造か耐火性能検証法で確かめられたものだけか、という点です。
まず、耐火建築物の定義の法2条九号の二を見てみます(条文は、一部省略しています)。
法2条九号の二
耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
そして、(2)の政令が令108条の3です。
令108条の3
法2条九号の二 イ(2)の政令で定める技術的基準は、主要構造部が、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 主要構造部が、次のイ及びロに掲げる基準に適合するものであることについて耐火性能検証法により確かめられたものであること。
二 前号イ及びロに掲げる基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
つまり、耐火建築物の主要構造部は、
①耐火構造
②耐火性能検証法で確かめられたもの
③国土交通大臣の認定を受けたもの
の3種あるように見えます。
これについて、国土交通省 住宅局建築指導課が編集している新日本法規の「建築法規の手引き」によると、
その416ノ6ページに耐火建築物の主要構造部と開口部との組合せの表があり、
主要構造部について、従来の仕様規定をルートA、耐火性能検証法をルートB、大臣認定をルートC
と表現しています。そして、表の上の文中では、「3つの適合ルートが用意されていて」とあります。
一方、枝4については、同書の404ノ1ページの耐火性能の項目で、
「通常の火災が終了するまで耐火構造がその性能を失わない性能を確保するため、
加熱が行われることによって、加熱中に限らず、加熱終了後も変形などの損傷を生じず・・・
・・・中略・・・などを耐火構造の性能として位置づけられています。」とあります。
ということで、
同書を頼りにする限りにおいては、結論は明らかなようですが、
皆さんはどのようにお考えになりますか?
一級建築士学科 №19について

7月28日に実施された一級学科試験の№19について、
疑問が生じています。
TAC講師室の解答速報では正解を1としました。
その根拠は、建築基準法68条の7第5項です。
それはいいのですが、枝4で、
「地区計画は、都市計画区域及び準都市計画区域内においてのみ定めることができる」
という点に注目しています。
建築基準法41条の2では、「この章(第8節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。」とあります。
そして、地区計画に関する条文は、第3章の第7節にありますので、ここだけ見ると問題ないように感じます。
しかし、そもそも地区計画は準都市計画区域に定めることができるのでしょうか。
これに関する条文は、都市計画法12条の4です。
都市計画法12条の4では、「都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画を定めることができる」とされていて、その一号に「地区計画」と明記されています。
しかし、地区計画については、準都市計画区域について定めることができる、とする都市計画法8条2項のような規定がありません。
また、国土交通省 都市・地域整備局 都市計画課が作成している「改正都市計画法の運用」という資料では、
その22ページに「準都市計画区域内では、地区計画は定められないことに留意(法改正前の取扱と変更なし)」と明記されています。
http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/unyou_shishin/pdf/unyou.pdf
問題文では、「建築基準法上、誤っているのはどれか」としていますので、
都市計画法の理屈は考えるな、と言われそうですが、
本来、建築基準法第3章の規定は都市計画法と連動して、都市計画区域内の秩序維持を図っています。
さて、どう考えたらよいのでしょうか。
二級建築士学科 法規の問題を振り返って

講師室では、今年の二級学科試験の解説原稿があがり、
現在、校正作業に入っています。
今年、難しかった法規ですが、
改めて問題と解説を見ていて気になった点があります。
まず、出題された関連法令ですが、
建築士法の2問と長期優良住宅法の1問を除き、
他の2問は選択枝ごとに根拠法令が異なる混合問題でした。
つまり、10種類の法律が2問で出題されました。
建設業法
都市計画法
土地区画整理法
瑕疵担保履行法
品確法
建設リサイクル法
消防法
宅建業法
バリアフリー法
耐震改修法
これだけの法律、及び施行令や施行規則が2問で出題されたのです。
まるで数年前の一級の問題のような印象を受けました。
また、長期優良住宅法の正解枝は、
認定変更の手続きが不要となる軽微な変更に該当するか否かを問うものでしたが、
耐震改修法の枝も、同趣旨の問題でした。
やや、クイズ的な出題で、今までの二級建築士の問題らしくないですね。
一方、建築基準法の問題ですが、
それなりに典型的な論点が出題されてはいましたが、
個々の選択枝は、ことごとく難易度が上がっていたようです。
例えば定番の用途制限の問題も、
正解枝は近隣商業地域で日刊新聞の印刷所の建築の是非を問うもので、
別表の正確な読み取りが必要とされる難問でした。
(もっとも、消去法で考えれば解けたと思いますが)
また、接道義務に関する問題は、
特定行政庁が許可する基準に関する規則を根拠とする枝がありながら、
問題の前提文で「特定行政庁の許可はないものとする」、とあるため、
非常にひっかかりやすい作りになっていました。
ということで、
建築基準法についても、問題作成者が変わった気がします。
次年度の受験生にとっては対策が気になるところですが、
いずれにしても、法規で得点を稼ぐ時代は終わったのかもしれません。
4科目、バランス良く学習することが、より重要になったといえるでしょう。