
さてさて、皆様、お待たせいたしました。
平成26年度 一級建築士 学科試験の解答速報 全125問です。
さて、構造と施工ですね。
総評もまもなくアップいたしますので、そちらもご覧ください。
TACでは、今年度の学科試験の総評と、設計製図の課題(道の駅)について、
7/31に渋谷校で18時30分より無料ガイダンスを開催します。
是非、お待ちしております。
なお、この解答番号はTACが独自に推定したものです。
後日変更する場合もありますことを、ご了承ください。
TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。
こんばんは、井澤です。
平成26年 1級建築士学科試験 総評です。
はじめに、受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
持っている力を存分に発揮することができたでしょうか。
1.今年の試験は易しかったか、難しかったか
今年の試験の難易度は、計画はほぼ例年どおりでした。環境・設備は非常に易しく、法規、構造も昨年に比べ、易しかったといえます。施工は例年に比べてやや難しい出題でした。全体的には例年に比べてやや易しいといえます。
合格基準点は、各科目は過半の得点、総得点は概ね90点が原則とされています。しかし、平成21年からの新試験制度においては、科目基準点は補正されていないものの、総得点は毎年補正されていますので、今年も総得点が引き上げられる可能性があります。
内容的には、近年は過去の出題の記述そのままではなく、内容的に一歩踏み込んだ出題や、表現を変えた出題が多く見受けられる傾向にあったのですが、今年については、過去の出題で十分に対応できる問題が多く、特に解答枝が頻出ポイントで容易にわかるという問題が多かったといえます。「努力した人が報われる」という、資格試験のあるべき姿に近づいた感じを受けます。
科目別に見ると、
■計画:昨年同様、新規テーマも数多く見られましたが、解答枝は容易にわかるという問題が多かったようです。No.3では、藤井厚二による「日本の住宅」、槇文彦による「見えがくれする都市」、芦原義信による「街並みの美学」、クリスチャン・ノルベルグ・シュルツによる「実存・空間・建築」などの著書、No.10では、ニューアーバニズム、フリンジパーキングなど都市計画及びまちづくりの手法、No.12では、りえんと多摩平、求道学舎などの実例が新しく出題され、解けない受験生も多かったと思われます。No.7は昨年の応用で、「ソシオフーガル」⇔「ソシオペタル=親近性」から判断することができました。
■環境・設備:非常に易しい出題でした。総得点の平均にもよりますが、科目基準点が上がる可能性もあります。特に環境工学は新規テーマがほとんどなく、過去問の理解で18点は取れる問題でした。しかも、過去問の中でも易しいものからの出題が多かったといえるでしょう。
■法規:近年の中では、比較的易しい出題でした。建築基準法は、長文で難解な出題もなかったため、高得点を取られた方も多かったと予想されます。関係法令は例年と同様に10問出題されました。建築士法からは、建築基準法融合を含め4問、その他は、都市計画法、消防法、バリアフリー法、耐震改修法、省エネ法、融合問題からの順当な出題構成で、内容も基準法同様、昨年のような細部からの出題もなかったため、全体的な得点は上がるものと思われます。
■構造:近年の中では、比較的易しい出題でした。力学計算の中では、No.4の山形ラーメンの問題は、解答枝は消去法で見つけられる内容でした。No.7の固有周期の問題は、質量、曲げ剛性、柱の高さの3要素が同時に変化するという点で難しい問題でした。記述問題では新しいテーマがほとんど見受けられず、過去問題をしっかり理解していれば得点できる問題が多かったといえます。近年の傾向として顕著なのは、靭性確保、塑性変形能力の向上に関する出題が非常に多いことで、No.11、No.12、No.15、No.16、No.17、No.19、No.20、No.24、No.25など、ほとんどの問題に関わる最重要テーマとなっています。
■施工:例年に比べてやや難しい出題でした。新しいテーマは少ないものの、過去問をしっかり理解していないと判断できない問題が多く、得点しにくかったと思われます。逆を言えば、材料や工法の特徴を理解していれば解ける問題もあり、この部分で差が出たと思われます。また、№4届出、№8鉄筋工事、№15木工事などは新規問題が解答枝となっており、得点が難しかったと思われます。
2.今年の試験は何が変わったか
今年出題された主な新しいテーマとして次のようなものが挙げられます。
主な新規問題のテーマ
今年の試験では、次のような新しいテーマの問題が出題されました。
■計画:藤井厚二、日本の住宅、見えがくれする都市、芦原義信、クリスチャン・ノルベルグ・シュルツ、実存・空間・建築、ニューアーバニズム、フリンジパーキング、りえんと多摩平、求道学舎
■環境・設備:平衡含湿率、送風機の羽根車の回転数と軸動力の関係、全熱交換器と外気冷房、耐震ストッパ
■法規:昨年末に改正された耐震改修法からの出題がありました。特に新しいテーマはないものの、時間との勝負という点で法規は最重要科目と言っても過言ではありません。
■構造:山形ラーメンの崩壊機構、ボーリング調査の箇所数、孔内水平載荷試験の対象深さ、応答変位法
■施工:宅地造成に関する工事の許可申請書、サンドコンパクションパイル工法、機械式継手のカップラー、高炉セメントC種、鉄骨製作工場のグレード、Nくぎ・FNくぎ、JASの防虫処理、帯電防止、泡消火設備格納箱、
3.製図試験対策
学科試験合格見込みの方は、さっそく設計製図対策をはじめましょう!
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4.来年の学科試験対策
① 構造力学と法規の克服
特に苦手とする方が多い「構造力学」と「法規」については、早い段階で基礎を理解しておくことが大事です。また、今年残念な結果だった方は、試験後、あまりブランクを設けずに学習を継続することが大事です。
② 最新の出題傾向に対応した学習
TACでは、最新の出題傾向に対応し、特に次の内容を充実させた教材を作成しています。イラストを豊富に用いながら試験の出題ポイントをわかりやすく講義していきます。
■計画:建築史、実例建築物は写真を豊富に掲載しています。
■環境・設備:省エネルギー
■法規:建築士法、関係法令の充実
■構造:耐震設計、技術の進歩・高度化
■施工:廃棄物の処理・改修工事
③ 法改正への対応
法令の改正等についての最新の情報にも注意が必要です。
例えば、建築基準法の天井脱落防止措置、エレベーター・エスカレーターの落下防止措置の義務化や、建設業法の人材育成義務、消防法の統括防火管理者などが要注意です。
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以 上
こんばんは。TAC建築士講座の神部です。
本日、一級建築士「設計製図の試験」の課題が発表されました。
早速ですが、今年度課題の分析をしていきたいと思います。
今年度の課題は、「温浴施設のある道の駅」と発表されました。
1級建築士試験において、初めての出題課題です。
そこで、道の駅とは何か、求められる機能と計画空間の要素は何かを、現実の「道の駅」を検証しつつ、試験課題としてピックアップすべき特色及び計画上の留意点を整理してみましょう。
〔課題テーマの概要〕
1.「道の駅」とは
「道の駅」とは、一般道の利用者に各種のサービスを提供する休憩施設です。現代では、長距離ドライブが増え、女性や高齢者のドライバーが増加する中、道路交通の安全で円滑な「ながれ」を支えるため、一般道にも安心して自由に立ち寄ることのできる休憩施設、かつ、その他のサービス施設としての「道の駅」の需要があります。
道路管理者が駐車場、トイレなどの「休憩施設」を整備し、市町村などが地域振興施設として、その他の「サービス施設」を設置・運営するという方式が基本ですが、近年は市町村が単独で整備することもあります。
※「道の駅」登録・案内要項(国土交通省道路局)
2.「道の駅の機能」と「課題の特色」
国土交通省による「道の駅」の基本的な機能は、「休憩機能」、「情報発信機能」、「地域の連携機能」の三つとされています。ドライバーは、「道の駅」に単なる通過途中の休憩所にとどまらず、次表のようなニーズを持っています。これらの欲求を満足することが、道の駅がドライバーと地域とのふれあいの場として賑わい、魅力あるランドマークとなり地域振興につながるものと考えられます。したがって、これらのニーズが、そのまま試験の主要なテーマとしても取り上げられることになると思われます。また、道の駅の登録における配慮事項として、「年少者、高齢者、障害者等、様々な人の使いやすさに配慮すること」、「景観に十分配慮し、地域の優れた景観を損なうことのない施設計画」が挙げられており、これも試験における重要なテーマとなります。
〔計画上のポイント〕
これらをふまえて、今年度課題の計画上の重要ポイントを探ってみましょう。
1.立地条件
試験の出題傾向をふまえれば、市街地に立地するものよりも、市街地郊外の自然環境や景観に恵まれた山間部や、海岸線を望む景勝地などが立地条件となることが十分に考えられます。
2. 駐車場の配置と施設へのアプローチ
駐車台数は、100台~200台程度が考えられます。ただ、試験における標準的な計画敷地内にすべて収容することは不可能であるため、隣接地に駐車場用地が確保されるか、又は、駐車場用地を含む事業敷地内に施設の計画敷地が示されるケースが考えられます。利用者の施設への主要なアプローチは、原則、駐車場からとなります。ただし、遊歩道などがある場合にはその動線にも配慮する必要があります。また、サービス用のアプローチは、原則、駐車場からとなりますが、二面道路敷地であれば、もう一方の道路からアプローチさせる場合も考えられます。
3.建築物の規模
要求図書の条件から、地上2階建であり、また、答案用紙から想定しうる計画敷地寸法から、建築物の延べ面積は2、000㎡前後の規模と推定することができます。
4.考えられる施設の「空間構成」及び「屋外施設」
① 利用者部門
A.休憩機能
(1)駐車場
(2)共同便所及び休憩室
(3)売店(飲料・ファーストフード)、自販機コーナー
(4)屋外休憩スペース、子供広場
B.情報発信機能
(1)案内所・掲示板(道路交通情報・気象情報・観光案内)
(2) 電話・FAX・インターネットコーナー
C.地域の連携機能
(1)特産品販売所
(2)レストラン
(3)展示スペース(地域の歴史・文化・産業の紹介)
(4)体験工房又はコーナー
(5)温浴施設(共同浴場)
(6)屋外イベント広場
② 管理部門
(1)事務・職員用諸室
管理事務室、従業員用の休憩室・更衣室等
(2)設備・サービス用諸室
空調設備、給排水設備・給湯設備、電気設備の機械室、厨房・パントリー(配膳室)、搬入・荷解き室、売場の商品倉庫、特産品の加工所など
(3)その他
平成16年に発生した新潟県中越地震を契機に、地域の防災拠点としての役割も期待されており、非常食糧や飲料水の備蓄倉庫、非常用電源、防火水槽、断水時にも使用できる便所などの要求が想定されます。
5.利用時間帯によるゾーンの区画
休憩機能を中心とした24時間利用できるゾーンと夜間は閉鎖するゾーンを夜間シャッターなどにより明確に区画する必要があります。
6.主要な歩行経路のバリアフリー化
年少者、高齢者、オストメイトなどの障害者等に配慮した便所、歩行経路の計画が求められます。特に車いす使用者用駐車スペースは、一般駐車場ではなく施設の計画敷地内に設け、できるだけ共同便所及びエントランスから近い位置に計画する必要があります。
7.便所の計画
駐車台数及び建築物の規模から、男女別にそれぞれ、多機能型便所を含めて各15台~20台の便器の計画が必要と考えられます。
8.景観・良好な環境を取り入れた計画
今年度の課題では、日照条件を特に重視する必要はなく、「良好な景観・眺望の得られる方向」が重要となり、「景観を取り入れた」諸室の配置計画や自然採光や通風の確保が重要な採点のポイントになると思われます。
9.建築物の外観
「地域の優れた景観を損なうことにない施設計画」が求められることから、昨年に続き、「勾配屋根」の計画が求められると思われます。したがって、勾配屋根を活用した室内空間の計画及び構造計画が求められることになります。
10.設備スペース
温浴施設があることから、セントラル給湯設備として計画するのが順当です。ボイラー、貯湯層、循環ポンプ、ろ過装置、膨張タンクなどが必要となりますから、適切な大きさの設備スペースの計画が求められます。
今年度の課題は、主要道路と駐車場及び建築物の建設用地の配置、そして良好な景観を取り入れられる方位によって、アプローチ計画、所室の眺望に配慮した配置について、多くのバリエーションが考えられる課題です。
ですので、基本となる敷地条件をしっかりと絞って、学習を効率よく進めて行くことが大事だと思います。
以上、平成26年度一級建築士「設計製図の試験」の課題分析でした。
みなさん、一緒に頑張りましょう。
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