TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

セイタ

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こんにちは、清田(セイタ)です

設計製図試験では「ゾーニングが適切か」が問われます
課題文の要求室表にある部門ごとでまとめる計画が基本(フロアゾーニング)となりますが、その建物における用途特有のゾーニングが問われることがあります。
以下に、主なものを挙げてみます。
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今回は上記のうち、特に明確なゾーニングとなる①の「上下足の履き替え」について確認していきましょう

平成21以降で上足・下足の履き替えエリアの出題があったのは、平成28年「子ども・子育てセンター」と平成30年「健康づくりのためのスポーツ施設」です。
この2つの課題ですが、課題文の要求内容に大きな違いがあります。
平成28年では課題文内において、保育所玄関に「下足箱を設ける」とあり、要求室表の上欄にも「各室は、素足又は上履きで利用する」とありました。
つまりこの場合、計画としては保育所玄関で履き替えた先はすべて上足エリアとなります。
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一方、平成30年はというと、「下足箱」の要求もなく、履き替えに関する具体的な要求もありませんでした。ただし、「計画の要点等」において「利用者の靴の履き替えについて考慮したこと」を求められたため、間接的に要求されたのと同じ状況でした。
このように「下足箱」の要求の有無で、計画の幅も変わってきます。

なお、平成30年のように「下足箱」の要求がなければ、2つの計画方法が考えられます。
(1)1箇所で履き替える(平成28年と同じように)方法。
(2)各室それぞれの出入口に下足箱を設置し、個別に履き替える方法。

平成30年の標準解答例の2案が上記(1)、(2)のそれぞれの計画例となっていますので、普及センターの標準解答例で確認してみてください





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こんにちは、清田(セイタ)です

早期講義が終わりホッと一息と思いきや、すぐに課題発表後の講座「設計製図本科生」の準備やら、もう次の2023年度の長期講座(早期講義)に向けての講座の見直しなどがスタートしました
終わりなき戦いですね

さて、今回はアプローチについて。
皆さんは、アプローチはどこから取りますか?

設計製図試験のセオリーとしては「歩道のある広い道路から」が正解ですよね
ですが、周辺状況や建築物の用途によってはそうとは限らないんです

アプローチのセオリーが崩された代表的な課題は、平成26年の「道の駅」でした。
この用途自体もサプライズでしたが、実際の「道の駅」を理解していないと解きづらい課題でしたね。
特にアプローチの取り方が

この年は台風の影響で2回試験がありましたが、どちらの課題も敷地については2面が隣地の広い駐車場に面し、1面が道路(歩道なし)に接道していました。当然、「道の駅」ですから隣地の駐車場側が正面となり、そこからメインアプローチを計画することになります。
「道の駅」としての常識が分かっていれば全く問題ありませんが、そうでなければ実例や実体験を頼りに計画しなければなりません
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【平成26年 温浴施設のある「道の駅」(10月試験)】

その他、平成30年「健康づくりのためのスポーツ施設」では、課題条件の中で「本建築物のエントランスは東・西・南・北のいずれに設けてもよい」とあり、受験者の判断力がより試された課題でした。
東側には歩道のある広い道路が接道していましたが、標準解答例を確認すると、2案とも西側の桜並木側からメインアプローチを計画するオチでした
平成30年 健康づくりのためのスポーツ施設

したがって、まずはセオリー通りのアプローチの取り方を身に付けた上で、周辺状況や建築物の用途によるアプローチの取り方も検討できるように、敷地図をよーく確認する必要があります





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こんにちは、清田(セイタ)です

先日、新宿校の設計製図「早期講義」の最終講義を無事、終えました
多くの受講生が受講前に比べて成長を感じてもらえたようで嬉しい限りですが、
何しろ本番はこれからです
いま現時点での「自分の弱点を克服するための期間」として、課題発表までの期間を有効に使ってくださいね

さて、今回は「パッシブデザイン」について。
以前の「試験でよく出る吹抜け」のブログでも「パッシブデザイン」に少し触れましたが、今回はもう少し深堀りしてみましょう
設計製図試験におけるパッシブデザインは、過去には平成28年、29年、30年と連続して出題されました。出題のされ方としては、各年ともに課題文の設計条件の冒頭文において「パッシブデザインを積極的に取り入れる」という条件が明記された形です。
パッシブデザインの要求に対する対応としては、下表のようにいくつかありますが、計画のオチとしては、採光・通風を取り込むための「吹抜け」を計画すれば間違いないでしょう(ただし、マストではありません)。
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なお、平成28年、29年の時は課題文の中に「吹抜け」の要求はなく、自ら計画することが期待され、標準解答例でも「吹抜け」のある計画となっていました。
一方、平成30年の時は課題文の中で「吹抜け」が要求され、「計画の要点」では「吹抜けとその周囲の空間において採光と省エネを実現するための工夫」といったように、さらに突っ込んだ内容が問われました。

近年はパッシブデザインについての要求は影を潜めていますが、今後も建築業界に関する他の要素が問われることもありますので、日ごろから時事問題に興味を持っておくことも重要ですね




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清田(セイタ)です

試験実施を担う「建築技術教育普及センター」では、過去の本試験の課題・標準解答例などを合格発表後に掲載しています
実は平成30年以降、毎年、以下のような「不十分な回答(答案)が多かった内容についての考え方」を標準解答例の中で示すようになったことをご存じでしょうか

ちなみに平成30年の試験と言えば、課題発表時に建築基準法への適合(延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設等の適切な計画)に関して、初めて明示され、試験が大きく変わった転換の年なのですが、合格発表後に掲載された内容は以下のとおりです。
標準解答例 掲載内容
上記は、標準解答例をよく見て「今回引っかかったこれらの項目は、特に気を付けてね!」というメッセージですから、これから受験される方は十分気を付けて試験に臨む必要があります

そこで、以下に平成30年以降に示された「不十分な回答」な内容をまとめてみました。不十分な答案

あれ すべての年度に「延焼のおそれのある部分」、「防火区画」とありますね
毎年、そんなに記入漏れをしたり、間違える受験生が多いのでしょうか?もしかしたら、いつもは出来ているけど、本番に弱いという人が多いのかもしれませんね。
しかし、私には少々違和感があります。なぜか。

それは弊社TACも含め、資格スクールに通われている方などは、この2点はしっかりと指導され、十分に学習しているはずですから、そう簡単に間違えたりしないのでは?と思うからです。

真実は分かりかねますが、いずれにしても毎年こういった内容が示されているので、令和4年の試験こそ、ここに挙げられた項目について「不十分」と判断されないように、記入漏れ・間違いに十分注意し、またギリギリではなく安全側に余裕をもって計画するようにしましょう





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清田(セイタ)です

学科試験では過去問の研究が重要です
それと同様、設計製図の試験でも過去問の研究はとても大事だと思います
本試験の課題文は毎年、変化しています
今回は、その要求内容がどう変わってきたのかを見ていきましょう。

まず、ご存じの方も多いかと思いますが、平成17年に起きた構造計算書偽装問題を踏まえ、一級建築士の試験は平成21年に大きく見直しが行われました。
設計製図の試験の主な「試験制度の見直し」は、
試験制度の見直し
この見直しを受けて、平成21年以降、要求内容はどんな変遷をしてきたのでしょうか?
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(1)伏図の出題
平成21年~平成26年までは6年続けて伏図が出題されましたが、その後、平成27年~令和3年までの7年伏図の出題がパタッとなくなり、替わりに平面図3面の要求が続いています

伏図は、構造的に理解しているかを確認しやすい要求図面でしたが、一方で、伏図を要求することで、平面図が2面(または、小規模で3面)までしか答案用紙に入らないという制約がありました
平成27年以降、伏図の出題がなくなり「平面図3面」に変わったことで、自由度の高い出題が可能になった結果、3フロア分の空間構成の検討が必要となり、平面図2面の場合に比べて、計画の難易度が上がったと言えそうです。

また伏図の出題はなくなりましたが、構造の理解が問われなくなった訳ではなく、部材の断面寸法などは「計画の要点等」で確認されることになりました。その他にも、地盤略断面図が示され、「地盤条件に応じた基礎の計画」も問われるようになりました。構造に関しては、今後も引き続き幅広い知識が試されそうですね。

ちなみに、要求図面の「立面図」は平成17年以降1回も出題がなく、「矩計図(断面詳細図)」についても試験制度の見直し後、1回も出題がありません

(2)面積表
面積表については、平成27年まで「床面積」のみ記入が要求されていましたが、平成28年以降、床面積に加えて「建築面積」の記入が要求されています

(3)補足事項の明示
「各図面に計画上特に留意した事項について、簡潔な文章や矢印等により補足して明示する」という要求も、同じく平成28年からです
なお、平成27年は「補足して明示してもよい」という、任意の要求でした。


このように、試験問題は過去の出題の仕方を引きずりながら毎年変化をしているので、その傾向を分析し、対策を立てることが大切です

他にも過去問の変遷がいろいろあるので、また別の機会にご紹介したいと思います。




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