TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

オールケーシング工法

井澤ですいざわ

■問題1
オールケーシング工法による場所打ちコンクリート杭工事において、孔内水位が高く沈殿物が多い場合、ハンマーグラブにより孔底処理を行った後、スライム受けバケットによりスライムの一次処理を行う。(一級施工:平成16No.8)
■問題2
アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭工事において、コンクリート打込み直前に行う二次スライム処理については、底ざらいバケットにより行った。(一級施工:平成20No.7)

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■解答
問題1 正。
問題2 誤。二次処理の段階では鉄筋かごが邪魔して底ざらいバケットは入りません。
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スライム
とは、地盤を削孔する際の孔壁の切りくず、またはそれが孔底に沈殿したものをいいます。
場所打ちコンクリート杭では、スライムを残したままコンクリートを打ち込むと強度が低下するので、その除去処理が重要になります。

スライムの処理には、一次処理と二次処理があります。

―――――――――ポイント―――――――――
■一次処理・・・掘削完了直後に行う処理
 オールケーシング工法、アースドリル工法では、掘削機の先端をスライム受けバケット、底ざらいバケットに交換してスライムを除去する。
■二次処理・・・鉄筋かごを挿入した後、コンクリート打込み直前に行う処理
 この段階では鉄筋かごが邪魔してスライム受けバケットや底ざらいバケットは入らないので、サクションポンプ方式(吸引ポンプを使用)などでスライムを吸引する。
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bucket
「ドリリングバケット」の先端には掘削のためのギザギザの刃先が付いているのに対し、「底ざらいバケット」はスライム除去が目的ですからギザギザの刃先は付いていません。回転させるとスライムがバケットの中に溜まります。それを引き上げます。


―――――――― 補 足 ―――――――――
「バケット」とは容器、入れ物です。
正確には、オールケーシング工法の場合は「スライム受けバケット」、アースドリル工法の場合は「底ざらいバケット」といいますが、同じようなものと考えて良いです。スライム受けバケットはどっち?とか考えなくて良いです。
一応、正確には次のとおりです。
・オールケーシング工法では、ハンマーグラブをスライム受けバケットに交換して処理。
・アースドリル工法では、ドリリングバケットを底ざらいバケットに交換して処理。
・リバースサーキュレーション工法では、水を循環して吸い上げる。
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井澤ですいざわ

■問題1
オールケーシング工法による場所打ちコンクリート杭については、孔壁の崩壊防止のために、ケーシングチューブを圧入しながら、ハンマーグラブで掘削する。(オリジナル)
■問題2
アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭については、孔壁・孔底の崩壊防止のために、一般に、安定液を孔内に注入する。(一級施工:平成11No.18
■問題3
リバースサーキュレーション工法では、一般に、水を使用して孔壁の保護と掘削土の排出を行う。(一級施工:昭和62No.8)

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■解答
 問題1、2、3とも正。


場所打ちコンクリート杭の掘削工法には、主に次の3つがあります。
掘削した孔内にコンクリートを打ち込むため、孔壁が崩れないように保護し、かつ、キレイに保つための工法になります。
ポイントは、孔壁保護と排土方法を比較整理することです。
 

工法

孔壁保護

排土方法

オールケーシング工法

ケーシングチューブで保護する

ハンマーグラブで土をつかみ上げる

アースドリル工法

孔内にベントナイト安定液を入れ、圧力で保護する(※)

ドリリングバケット内部に土をためて引き上げる

リバースサーキュレーション工法

孔内水位を高くし、水圧で保護する

孔内にを循環し、泥水として吸い上げる

ベントナイト安定液は、一種の粘土泥水で、水より比重が高いため孔壁を保護できるとともに、コンクリートより比重が低いため、コンクリートを打ち込むと浮いて排出できる。

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