TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

バリアフリー法

井澤ですいざわ

今回で建築基準法以外の関係法令は最後です。
最後にふさわしい比較暗記法です。
次回からは建築基準法を扱います。


[テーマ問題] 
■問題1(法規R02-26)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、認定特定建築物の建築物特定施設の床面積のうち、移動等円滑化の措置をとることにより通常の建築物の建築物特定施設の床面積を超えることとなる部分については、認定特定建築物の延べ面積の1/10を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないものとする。
■問題2(法規R05-27)
「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」に基づき、建築基準法第52条第1項に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の床面積のうち、建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させるための措置をとることにより通常の建築物の床面積を超えることとなる場合、国土交通大臣が定めるものの床面積については、当該建築物の延べ面積の1/10を限度として算入しないものとする。
■問題3(法規R03-28)
「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、低炭素建築物新築等計画の認定基準に適合させるための措置をとることにより通常の建築物の床面積を超えることとなる場合、建築基準法第52条第1項に基づく容積率の算定の基礎となる延べ面積には、当該建築物の延べ面積の1/10を限度に算入しないものとする。


それぞれの法律の目的に沿った望ましい計画の認定基準に適合させるために通常の建築物の床面積を超える部分については容積率の緩和がありますが、算入しない限度が延べ面積の1/10までのものと、1/20までのものとがあります。
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[比較暗記法] 「認定建築物の容積率不算入の上限1/10と1/20」
バリアフリー法19条、同法令27条
 延べ面積の1/10が限度
建築物省エネ法35条、同法令7条
 延べ面積の1/10が限度
低炭素化法60条、同法令13条
 延べ面積の1/20が限度
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・この違いについては、バリアフリー法は廊下、階段等の床面積の増加が不可避、建築物省エネ法は省エネ機器の設備スペースの床面積の増加が不可避だからと覚えましょう。
・一方、低炭素化法は必ずしも床面積の増加に直結しない、節水に関する取組、雨水・雑排水利用、BEMS(学科Ⅱ「環境・設備」で学習するビル・エネルギー・マネジメント・システム)の採用などの運用面も高く評価されます。

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[テーマ問題の解答]
■問題1 正。バリアフリー法19条、同法令27条。
■問題2 正。建築物省エネ法35条1項、同法令7条1項。
■問題3 誤。低炭素化法60条、同法令13条。






井澤ですいざわ
バリアフリー法の中で最も差が付く論点です。
ぼーっとしていると誤りに気が付きません。

[テーマ問題] (バリアフリー法)
■問題1(法規H25-30)
既存の建築物で不特定かつ多数の者が利用する建築物の所有者は、階段のけあげ及び踏面を所定の基準に適合する寸法とするよう努めなければならない。
■問題2(法規H25-26)
床面積の合計が2,000㎡の図書館に設ける階段のうち、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用するものは、踊場を除き、手すりを設けなければならない。
■問題3(オリジナル)
床面積の合計が2,000㎡の図書館における移動等円滑化経路上には、傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合を除き、階段又は段を設けてはならない。
■問題4(法規R05-26)
「建築物移動等円滑化誘導基準」においては、多数の者が利用する主たる階段は、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、回り階段とすることができる。

バリアフリー法には、大きく3つの数値基準があります。
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[比較暗記法]  バリアフリー法「3つの数値基準」

①建築物移動等円滑化基準

バリアフリー法14条1項に基づき同法令10条から25条までに規定。
2,000㎡以上の特別特定建築物に適合義務、それ以外の特定建築物に努力義務が課される。

【例】階段の「円滑化基準」は同法令12条に規定。
「主たる階段は、回り階段でないこと。ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、この限りでない。」(同法令12条六号)
【注意】ただし書があるところが下記③の【例】とは異なります。

移動等円滑化経路の基準

上記①の基準のうちの一つで、同法令19条に規定。
同法令19条1項各号に定める経路のうち1以上に適合義務又は努力義務が課される。
つまり、最低1の経路は②の基準、それ以外の経路は①の基準でよい。

【例】階段の「移動等円滑化経路の基準」は同法令19条2項一号に規定。
「当該移動等円滑化経路上に階段又は段を設けないこと。ただし、傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合は、この限りでない。」

③建築物移動等円滑化誘導基準

この基準は〔No.32〕(バリアフリー法と耐震改修法の「認定の申請」)で説明した「認定」を受けるための基準。
バリアフリー法17条3項一号に基づき「建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令(※)」に規定。

【例】階段の「誘導基準」は「建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令」4条に規定。
「主たる階段は、回り階段でないこと。」(同省令4条九号)
【注意】上記①の【例】のただし書(ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、この限りでない。)がありません。
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※正式名称は「高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき建築物特定施設の構造及び配置に関する基準を定める省令」(H18国土交通省令114号)

<③の「誘導基準」について>
認定は自主的に申請するものであり、認定を受けるための基準である「誘導基準」は、義務でも努力義務でもありません
したがって、「誘導基準」は試験問題として出題しにくく、近年12年までさかのぼってもテーマ問題4しか出題されていません。

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[テーマ問題の解答]
■問題1 誤。設問の建築物は用途が不明であり、特定建築物又は特別特定建築物に該当するか不明ですが、適合義務又は努力義務の対象となる「円滑化基準」には階段のけあげ及び踏面の規定はないので誤りです。なお、階段のけあげ及び踏面の規定は、誘導基準を定める省令」4条に定められており、この基準は法17条3項一号に基づく認定を受けるための基準であり、義務でも努力義務でもありません。
■問題2 正。バリアフリー法令12条一号。
■問題3 正。バリアフリー法令19条2項一号。
■問題4 誤。バリアフリー法17条3項一号及び建築物移動等円滑化誘導基準を定める省令4条九号により、「誘導基準」では、多数の者が利用する主たる階段は、回り階段とすることはできません。なお、「円滑化基準」では、同法令12条六号ただし書により、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときは、回り階段とすることができます。





井澤ですいざわ
今回はバリアフリー法と耐震改修法の「認定の申請」について比較整理を行います。

[テーマ問題]
■問題1(法規H25-26)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、床面積の合計が2,000㎡の図書館の建築主等は、特定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
■問題2(オリジナル)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、特定建築物に該当しない建築物であっても、当該建築物の建築主等は、建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
■問題3(法規H22-29)
「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づき、特定既存耐震不適格建築物に該当しない建築物であっても、当該建築物の耐震改修をしようとする者は、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
■問題4(法規R06-26)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、床面積の合計が2,000㎡のホテルを新築しようとする場合において、建築主等は、特定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請しなければならない。

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・はじめに「認定」とは、様々な法律に定められた基準を満たすことを認められることにより、その表示容積率の緩和等の優遇措置を受けられるものです。
・認定は自主的に申請するものであり、義務でも努力義務でもありません

・また、バリアフリー法には「特定建築物」と「特別特定建築物」とがありますが、バリアフリー法2条十九号の「特別特定建築物」の定義が「…特定建築物であって、…政令で定めるもの」となっていることから分かるように、また、同法令4条の「特定建築物」と同法令5条の「特別特定建築物」とを比較すると分かるように(重複しているものが多いですね。)、「特別特定建築物は特定建築物でもある」という関係を理解することが大事です。

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[比較暗記法]  「認定の申請

バリアフリー法では、特定建築物(特別特定建築物を含む。)が認定を申請できる。(バリアフリー法17条1項)
・戸建住宅など、多数の者や高齢者等が利用しない用途は、認定を申請できず、バリアフリー化したからといって容積率等が緩和されるわけではない。
・様々な法律に認定制度があるが、このように認定を申請できる用途が限定されるのは、試験対策上はバリアフリー法だけと思ってよい。

耐震改修法では、どんな建築物も認定を申請できる。(耐震改修法17条1項)
・倒壊するときの危険性は用途によらないため。また、どんな建築物も耐震改修を促進したいため。
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※偶然ですが、バリアフリー法の認定も、耐震改修法の認定も、どちらも17条1項に定められています。

[テーマ問題の解答]
■問題1 正。バリアフリー法2条十八号、同法令4条十三号により、図書館は、特定建築物に該当します(同法令5条十二号により特別特定建築物にも該当します)。同法17条1項により、建築主等は、特定建築物の建築等をしようとするときは、特定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができます。
■問題2 誤。バリアフリー法17条1項に「建築主等は、『特定建築物(特別特定建築物も含まれる)』の建築等をしようとするときは、(中略)認定を申請することができる。」とあるように、特定建築物に該当しない建築物は、認定を申請することができません
■問題3 正。耐震改修法17条1項に「『建築物』の耐震改修をしようとする者は、(中略)認定を申請することができる。」とあるように、特定既存耐震不適格建築物に限らず、どんな建築物も認定を申請できます
■問題4 誤。認定は自主的に申請するものであり、義務でも努力義務でもありません。「認定を申請しなければならない」という設問は誤りです。





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