TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

一軸圧縮試験

井澤ですいざわ

■問題1
一軸圧縮試験及び三軸圧縮試験の土質試験は、ボーリング孔内から採取した試料を物理的・力学的に変化しないように運搬して、室内で試験を行う。(一級構造:平成22No.22
■問題2
液状化判定のための粒度試験試料として、標準貫入試験用サンプラーより採取した「乱した試料」を用いることができる。(一級構造:平成27No.19

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■解答
 問題1 正。一軸圧縮試験及び三軸圧縮試験には、「乱さない試料」を用いる。
 問題2 正。粒度試験は、「乱した試料」でもよい。
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室内土質試験の種類によって、「乱さない試料」を用いなければならない場合と、「乱した試料」でもよい場合とがあります。
それをまとめたのが次表です。
なお、試料とはサンプリングした土のことです。

ポイント:乱さない試料と乱した試料

採取試料の状態

採取方法

試験の種類

乱さない試料

薄い金属の円筒のサンプラーを地盤に静かに押し込み、中に入る乱さない試料を採取

力学的試験

・一軸圧縮試験
・三軸圧縮試験
・圧密試験

乱した試料

標準貫入試験用サンプラーを打ち込む際に、中に詰まった、乱した試料を採取

物理的試験

・含水比試験
・粒度試験
・液性限界試験
・塑性限界試験 


■力学的試験
一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験については、下記も参照してください。
No.225 (土のせん断強さの試験)
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/44858941.html
No.226 (土の圧縮性の試験)
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/44859797.html

■物理的試験
・・・試験方法の概要が分かれば、「乱した試料」でもよいことが分かると思います。いずれも土を乱して試験していますから。
・含水比試験
炉の中で土中の水分を蒸発させて、蒸発前後の質量を比較することにより含水比を調べます。
・粒度試験
粒径の分布を粒度といい、ふるい分けなどによりその分布を調べます。
・液性限界試験
土は水量を増やすと固体半固体塑性体液体になります。
塑性体から液体に移るときの含水比を液性限界といいます。
試験は、土を皿に薄く伸ばして溝を切り、振動を加えて溝がくっつく度合を調べます。
・塑性限界試験
塑性体から半固体に移るときの含水比を塑性限界といいます。
試験は、土を直径3㎜のひも状にしたとき、切れぎれ(半固体)になるときの含水比を求めます。


 

井澤ですいざわ

■問題1
ひび割れのない粘性土のせん断強さの測定は、一軸圧縮試験が主に用いられる。
(一級施工:平成8年No.5)
■問題2
自然状態でクラックの入った粘性土の試料の強度については、一軸圧縮試験によると小さな値を示す傾向があるので、三軸圧縮試験により求めた。
(一級施工:平成17No.5)

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■解答
 問題1、2ともに正

設計に必要な土の主な性質は、「せん断強さ」と「圧縮性」です。つまり、強さと変形です。
本日は「せん断強さ」について確認します。地盤はせん断破壊しますから、土のせん断強さが重要です。

――――――――――ポイント――――――――――
1.砂質土のせん断強さ
  標準貫入試験
2.粘性土のせん断強さ
  ①原位置試験
   ベーン試験・・・・・・・・軟弱な粘性土が対象
   機械式コーン貫入試験・・・軟弱な粘性土が対象
  ②室内土質試験
   一軸圧縮試験・・・ひび割れのない粘性土が対象
   三軸圧縮試験・・・ひび割れのある粘性土が対象
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1.について
 砂質土は圧力がかかっていないと崩れやすいので、試験室に持ち帰って調べる室内土質試験ではなく、原位置(=現場)で行う標準貫入試験が多用されます。

2.①について
 ベーン試験も、機械式コーン貫入試験(旧称はオランダ式二重管コーン貫入試験)も、それぞれベーンを回転、コーンを貫入できるような軟弱な粘性土が対象です。

2.②について
 ひび割れ(=クラック)がある場合には、一軸圧縮試験ではひび割れから崩れて小さな値しか出ませんので、三軸圧縮試験を行います。三軸圧縮試験は、土をパッキングして水中で全方向(XYZの三軸)から圧縮します。

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