井澤ですいざわ

集合住宅の実例の出題は、県営、町営、都市再生機構などの公営住宅の出題が多いです。
もちろん建築計画的な価値が高いものばかりですが、著作権の問題も少ないですからね。

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真野ふれあい住宅(まの)
(神戸市住宅局、SVU建築設計事務所)
■問題51
真野ふれあい住宅(神戸市)は、阪神・淡路大震災の被災者を対象に建築されたコレクティブハウジングであり、共同の食堂、台所等を設けて、居住者が生活の一部を共同で行うことが可能となっている。
(一級計画:平成30年No.13)


■リンク
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20130909_1-1ishito.pdf
↑7~12頁で「真野ふれあい住宅」を詳しく説明しています。

■解答 正。真野ふれあい住宅は、前回の
No.10の「インナートリッププラザ神山町」とともに、コレクティブハウスの代表例の一つです。

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世田谷区深沢住宅
(世田谷区・市浦ハウジング&プランニング・岩村アトリエ共同企業体)
■問題52-1
世田谷区深沢環境共生住宅(世田谷区)は、木造平家建ての住宅団地の建替え事業により建築された公営の住宅であり、高齢者在宅サービスセンターを併設した、シルバーハウジング・プロジェクトを含むものである。
(一級計画:平成30年No.13)

■問題52-2
世田谷区深沢環境共生住宅(東京都世田谷区)は、木造平家建ての住宅団地の建替え計画により建設され、高木の保存、井戸の活用、優良土壌の再利用、古材の使用等、既存の環境の継承を意図している。
(一級計画:平成19年No.10
■問題52-3
世田谷区深沢環境共生住宅(東京都世田谷区)は、木造平家建の住宅団地の建替え計画により建設され、「地域に開いた環境共生」と「高齢者等への対応」とを意図した集合住宅である。
(一級計画:平成16年No.
■問題52-4
世田谷区深沢住宅(1997年)は、環境共生をテーマとした公営住宅であり、自然環境との共生のほかに、人と人の共生を促す計画(高齢者用住戸をつなぐ空中路地など)がなされている。
(一級計画:平成10年No.25

■リンク
http://iwamura-atelier.com/wpat/wp-content/uploads/2017/10/FukasawaSympioticHousingComplex_JP.jpg

■解答
 問題52-1~4ともに正。

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中新田町営並柳HOPE住宅(なかにいだちょうえい・なみやなぎ)
(針生承一建築研究所)
■問題53
「中新田町[現在の加美町]営並柳HOPE住宅」(宮城県)は、北からの強風と地吹雪を防ぐ屋敷林や瓦屋根と漆喰壁による景観によって周辺の風景との調和を図り、地場産材の活用等による地域の活性化を意図した戸建て住宅団地である。
(一級計画:平成18年No.24

■リンク
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/K00360/tezukurifurusato/pdf/h01_pdf/h01_machi04.pdf
↑国交省東北地方整備局のホームページです。

■解答 正。
HOPEは「HOusing with Proper Environment」の略です。「地場の環境と共生する住宅」という意味です。

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岐阜県営住宅ハイタウン北方-南ブロック
(高橋昌子、クリスティン・ホーリィ、エリザベス・ディラー、妹島和世)
■問題54
岐阜県営住宅ハイタウン北方-南ブロック(北方町)は、昭和40年代に建設された公営住宅の建替えに当たって、21世紀に向けた居住様式を提案することを目標として設計された集合住宅団地である。
(一級計画:平成27年No.12

■リンク
http://zukan.exblog.jp/4660529/
↑高橋棟
http://zukan.exblog.jp/4660541/
↑ホーリィ棟
http://zukan.exblog.jp/4660533/
↑ディラー棟
http://zukan.exblog.jp/4660524/
↑妹島棟

■解答 正。総合コーディネーターの磯崎新氏が指名した4名の女性建築家がそれぞれの棟の設計を行っています。

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東雲キャナルコート(しののめ)
(山本理顕、伊東豊雄ほか)
■問題55-1
東雲キャナルコート(江東区)は、6街区に分割された敷地に、それぞれ別の建築士事務所が設計を行った低層集合住宅団地である。
(一級計画:平成27年No.12
■問題55-2
東雲キャナルコート1街区(東京都江東区)は、高層板状住棟による高密度な賃貸集合住宅であり、住戸には、仕事場等として使用できる開放的な「f-ルーム(ホワイエルーム)」を設け、中廊下やコモンテラスと連続させている。
(一級計画:平成19年No.10
■問題55-3
東雲キャナルコート1・2街区(東京都江東区)は、中廊下形式を採用し、中廊下への通風や採光を確保するための大きなテラスを住棟各所にもつ高層板状住棟により構成した高密度な賃貸集合住宅である。
(一級計画:平成16年No.

■リンク
http://www.riken-yamamoto.co.jp/index.html?page=ry_proj_detail&id=66&lng=_Jp

■解答
 問題55-1 誤。「低層」ではなく「高層」です。
 問題55-2 正。
 問題55-3 正。
中廊下型を採用して高層・高密度を実現し、中廊下への通風や採光を確保するために大きなテラスを住棟の各所に設けるという解決策です。

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かんかん森(事業主体:()生活科学運営)
■問題55-4
かんかん森(東京都)は、各住戸の独立性を保ちつつ、居住者が共同で使用することができる居間や台所等を設置して、コモンミールや掃除等、生活の一部を共同化している、コレクティブハウスである。
(一級計画:平成29年No.13

■リンク
https://allabout.co.jp/gm/gc/28374/
12階建ての建築物ですが、かんかん森は2階と3階の部分です。
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/unet/issue/0602/images/index_ex06.gif
↑館内見取り図です。
http://blog.livedoor.jp/kankanmori/
↑かんかん森のブログです。コレクティブハウスの協同居住のイメージがつかめると思います。

■解答 正。


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SHARE yaraicho(篠原聡子+内村綾乃)
■問題55-5
SHARE yaraicho(東京都)は、道路に面する部分は巨大な半透明のテント膜で覆われ、内部は吹抜け空間を介して個室7室とコモンスペースが計画された、シェアハウスである。
(一級計画:平成29No.13

■リンク
http://www.s-d-s.net/works/81
↑設計者のホームページです。
http://www.toto.co.jp/tsushin/2014_newyear/feature3_top.htm
↑ページの一番下に平面図、断面詳細図へのリンクがあります。

■解答 正。2014年に日本建築学会賞を受賞しています。

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釜石・平田地区仮設住宅団地(東大 西出・大月研+岩手県立大学 狩野研)

■問題55-6

釜石・平田地区仮設住宅団地(岩手県)は、東日本大震災後に被災者を対象に建設された、高齢者向け住戸と一般向け住戸で構成され、サポート拠点(サポートセンター)を併設した災害公営住宅である。

(一級計画:令和3年No.13改)
■問題55-7
釜石・平田地区仮設住宅団地(岩手県、2011年)は、東日本大震災の復興支援の一環として建設されたコミュニティケア型仮設住宅団地であり、診療所付きのサポートセンターや仮設店舗が計画された。
(一級計画:令和2年No.12

■リンク
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/report2012FY/pdf/hearing_jirei03.pdf
釜石市内で最大の平田第6仮設団地は20203月末に閉鎖され、解体工事後にサッカー場・ラグビー場に戻す予定です。

■解答55-6、7ともに正。

令和3年No.13の出題は、前半が「グループハウス尼崎(兵庫県)は、阪神・淡路大震災後に被災者を対象に建設された、」になっている誤りの肢でした。上記の問題は、それを正しくした問題です。

下記の内容を比較して覚えましょう!
「グループハウス尼崎」については、No.13-2を参照してください。
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/56377212.html

  

釜石・平田地区仮設住宅団地
(岩手県)

グループハウス尼崎
(兵庫県)

東日本大震災後

阪神・淡路大震災後

高齢者向け住戸と一般向け住戸

高齢者向け住戸

コミュニティケア型仮設住宅団地
サポート拠点あり

サポート拠点なし

 

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