昨年より、合格率が製図試験は4.5%下がり、学科からの最終合格は2.8%下がりました。
皆さん、こんにちは!
TAC二級建築士講師の岡部です。
まずは、合格された皆さま、本当におめでとうございます。
ここからは、今年の課題「歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート)」について、建築技術教育普及センターの発表内容を受けて簡単な講評をしたいと思います。
今年の設計製図試験の全国合格率は「48.6%」でした。昨年は「53.1%」でしたので、やや合格率が落ちました。前回のRC造の課題(平成30年)の合格率「54.5%」と比べても低く、やや難しい試験だったことがうかがえます。
ランク別の割合では、ランクⅣ(失格)が11.8%と昨年より多く、図面の未完成や主要な部屋の欠落など、大きな失敗をした人が多かったことが分かります。
また、ランクⅢ(「知識及び技能」が著しく不足している)が、ランクⅡ(「知識及び技能」が不足している)よりも、かなり大きな数字ですので、致命的ではないが、多くのミスを積み重ねた結果不合格となった人が多かったと考えられます。
建築技術教育普及センターの採点のポイントは以下の項目です。
(1)設計課題の特色に応じた計画
①診療所部分と住宅部分との相互の動線計画
②防火区画等
(2)計画一般(敷地の有効利用、配置計画、動線計画、設備計画、各室の計画等)
(3)構造に対する理解
(4)断面構成に関する知識
(5)要求図書の表現
(6)設計条件・要求図書に対する重大な不適合
①鉄筋コンクリート造3階建てでないもの
②要求図書のうち図面が1面以上未完成
③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)
④延べ面積が、「240㎡以上、300㎡以下」に適合していないもの
⑤要求室のうち、次のいずれかの室が欠落又は設置階が違っているもの(室名は省略)
⑥著しく非常識な計画(階段、エレベーターの欠落等)
さらに解答の傾向として次のコメントがあります。
「未完成」、「設計条件の違反(要求室の欠落、防火区画等の計画が不十分)」、「要求図書に対する不備(部分詳細図(断面)の防水措置)」に該当するものが多かった。
これらの項目が主要な採点ポイントですので、これらのすべてにわたって、大きなミスを犯すことなくプランニングを行い、図面を仕上げなければいけません。
特に(1)の②に「防火区画等」と明記されましたが、これは6月の課題発表のときに「建築基準法令に適合した建築物の計画とする。」と注記されたことを反映しており、法的な条件をしっかり理解し図面に反映させる必要があったということがわかります。
また、今年の部分詳細図の指定箇所は「2階のバルコニーの出入口を含む部分」でしたが、その防水措置についても採点ポイントとなっていますので、納まりについてもよく理解した上で図面に描き込む必要がありました。
今年の試験課題の最大のサプライズは、「敷地全体になだらかな傾斜がついている」という点でした。過去にない出題で皆さん頭を悩ませたかと思います。標準解答例の階高設定では、前面道路面をGLとして軒高を9000㎜、1FLを+300㎜として、各階の床高さを細かく調整しています。敷地北側では1階の床が地盤より下になる高さです。
受験生の方は、色々な階高の解答をされたと思いますが、設定内容の適否や配点ウェートの割合など、今後分析をしていきたいと思います。
今年の試験を見ても分かるように、設計製図の試験は年々難易度が上がり、生半可なレベルでは合格できない試験となっています。これを突破するためには、以下2点において対策を立てることが必須になります。
①プランをまとめる力の強化(設計条件を正確に読み取り、適切なプランを作る)
②製図力の強化(構造を理解し、メリハリのある図面を短時間で描く)
課題の発表は来年の6月ですので、①のプランをまとめる力の強化については学習を始めることが難しいのですが、②の製図力の強化については今からでも始めることが可能です。
来年の課題は木造と予想されます。今年のRC造とは違った対策が必要になります。
今年涙を飲んだ方は、是非とも早めに試験対策を始めましょう。学科合格後、今回初めて製図試験を受験する方も同様です。
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