井澤ですいざわ

■問題 東京駅丸の内駅舎(東京都千代田区)は、辰野金吾が設計した赤レンガのファサードをもつ駅舎であり、総合設計制度を適用して未利用容積を別の敷地に売却して事業費を捻出し、戦災により焼失した部分の復元を行っている。
(一級計画:平成23No.3)

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東京駅丸の内駅舎は、今年出題される可能性が高いです!
主な理由は次の3つ。
201412月に開業100周年を迎えたばかり。
②「歴史的建造物の保存・再生」は、去年出ていないので今年はきっと出る。
③誤りの枝は、そのうち正しい枝で出題される。
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■解答 誤。
設問中の「総合設計制度」は「特例容積率適用区域制度」の誤りです。

■特例容積率適用区域制度とは
未利用の容積率を、同じ区域内にある別の敷地の建築物に移転できる制度です。
東京駅周辺がこの制度の全国初の適用例です。
東京駅の未利用容積率の移転を受けたのが、新丸ビル、東京ビル、グラントウキョウ(ノースタワー&サウスタワー)などの東京駅周辺の超高層ビル群です。

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設問(平成23年出題)以外のポイントとしては、
免震レトロフィット工法が採用されている点を押えておきましょう。

■免震レトロフィット工法とは
レトロフィットとは、耐震改修のことです。
免震構造を採用した耐震改修工事を免震レトロフィット工法といいます。
免震構造により地震力が小さくなるため上部構造をそのまま使えます。
したがって、竣工時の姿・形を損なうことなく耐震改修ができることが大きなメリットです。

このため、下記のような、建築家の世界代表(?)と日本代表(?)の設計による、たいへん貴重な建築物の保存・再生に採用されているわけです。

―――――――――ポイント―――――――――
免震レトロフィット工法の採用例
国立西洋美術館本館(ル・コルビュジエ設計)
東京駅丸の内駅舎(辰野金吾設計)
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この2つをペアで覚えておきましょう。