井澤ですいざわ

■問題1
高さ30mの建築物の屋上から突出する高さ4mの塔屋に作用する水平震度は、地震地域係数Zに1.0以上の数値を乗じた値とすることができる。(一級構造:平成20No.9)
■問題2
高さ30m、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階建ての建築物において、外壁から突出する部分の長さ2.5mの鉄筋コンクリート造の片持ち階段について、その部分の鉛直震度を1.0(地震地域係数)として、本体への接続部も含めて安全性の検証を行った。(一級構造:平成21No.24
■問題3
地表に設置された高さ4mを超える広告塔に作用する地震力については、一般に、水平震度を0.5(Zは地震地域係数)以上として計算する。(一級構造:平成17No.20

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■解答
 問題1、2、3ともに正。
 なお、設問中の「高さ30m」とか「高さ4mを超える」とかの部分については、法規ではありませんので、気にしないで良いです。
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水平震度
とは、ある層の地震力が、その層の重量の何倍かを表します。
(※地震速報の震度5等とはまったく別物です。)

これと似たものに地震層せん断力係数C
iがあります。
地震層せん断力係数Ciとは、ある層の地震層せん断力が、その層の支える重量の何倍かを表します。

320でF1ドライバーには4Gの水平力がかかると言いましたが、頭に生じる力が地震力で、首に生じるせん断力が地震層せん断力と思ってください。

本来、地震力と地震層せん断力は大いに違いますが、1層又は最上階であれば、地震力=地震層せん断力です。
塔屋、工作物等は1層又は最上階ですから、地震力=地震層せん断力になります。

次表のように塔屋、工作物等の水平震度は
1.0Z以上又は0.5Z以上としますが、これは、地震層せん断力係数Ci=Z・Rt・Ai・C0の式において、地域地震係数Z以外の(Rt・Ai・C0)をすべてざっくり1.0又は0.5にしたということです。

ポイント:水平震度・鉛直震度

部 位

水平震度(鉛直震度)
(Zは地域地震係数)

屋上から突出する塔屋の水平震度

1.0Z以上

外壁から突出する片持ち階段や
バルコニーの鉛直震度

地表に設置された広告塔などの
工作物の水平震度

0.5Z以上

屋上から突出する塔屋と、地表に設置された広告塔とでは、前者のほうが大きく揺れることはイメージしやすいと思います。
また、「外壁から突出する片持ち階段やバルコニーの鉛直震度」については、次図から鉛直方向の力が生じるイメージを持ってください。

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