
こんばんは、TAC建築士講座の神部です。 ![]()
今年度の設計製図課題は、「子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)」と発表されました。
課題の特色について、いくつかのテーマに分けて、分析してみることにします。
1.「子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)」とはどんなイメージか
「保育所、児童館・子育て支援施設」と示されていることから、「保育所」、「児童館」、「子育て支援施設」の3つで構成される複合施設です。ただし、それぞれが完全に独立した施設ではなく、「保育所」と「児童館・子育て支援施設」とが併設されたものと解釈するのが妥当で、児童館を子育て支援の連携施設とする「連携型地域子育て支援拠点」に該当すると思われます。
皆さんもご存じのとおり、現在のわが国では、共働き家庭が増加し、地域のつながりが希薄となり、多くの待機児童がいることや子育て家庭における育児不安や社会的な孤立感から、子どもの成育をめぐる環境は大きく変化しています。
そこで平成27年4月より「子ども・子育て支援新制度」が施行されました。
子ども・子育て支援とは、地域や社会が保護者に寄り添い、子育てに対する負担や不安、孤立感を和らげることを通じて、保護者が子どもと向き合える環境を整え、子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じることができるような支援をしていくことです。
どのように実施していくかといえば、国等が保育所・幼稚園・認定子供園などの施設への教育・保育給付を行う制度で、既設の保育所や児童館の遊戯室や、育児相談室を使って、例えば、お誕生会などの各種イベントを通じて、地域の親子が交流し、育児相談もできるような集う場を提供するのです。
子育て家庭の負担を軽減するために、一時的な託児を行う場合もあります。
主な事業の内容は、次のとおりとなっています。
①「親子の交流の場の提供と交流の促進」
②「子育て等に関する相談、援助の実施」
③「地域の子育て関連情報の提供」
④「子育て及び子育て支援に関する講習等の実施(月1回以上)」
すなわち今年は、「保育所」と「子育て支援を行う児童館」が一体となった「子ども・子育て支援センター」という1つの地域の拠点施設が出題されたということです。
ただし、保育所は、厳しいセキュリティが求められるのに対して、児童館は自由に子供が出入りする施設ですから、それぞれ部門は明確に分離する必要があります。
2.保育所と児童館
保育所は、児童福祉法で定められた基準による認可保育所と認可外保育所があります。いずれも保育所と呼ばれるのですが、試験においては、認可保育所を指していると思われます。したがって、主に、0歳(乳児)、1歳から5歳の幼児を対象とし、乳児室やほふく室、保育室や遊戯室の設置、さらに屋外遊技場(園庭)を設けることなどが必要になります。試験対策としては、入所人数に応じた各諸室の規模は、しっかり押さえておかなければなりません。
児童館は、児童福祉法による児童厚生施設の一つで、子どもたちの健全育成を目的とした遊びを提供し、健康を増進し、情操を豊かにするための施設といえます。ですから、集会室や遊戯室、図書室はもちろんですが、その他運動機能や文化・教養に関する活動施設が整備されています。今回出題の児童館は、児童センターと比べ、小規模なものと考えてよいと思います。
児童館については、学校のある日は、昼間閑散としていますから、昼間は親子が遊びに来て、夕方からは学童が遊びに来るといった施設の利用形態がイメージできると思います。
3.保育所と児童館のゾーニングと立体構成
先に述べたとおり、保育所と児童館ではセキュリティ管理に大きな差があります。また、利用時間帯に差があり、保育所が午後7時まで利用できるのに対して、児童館や子育て支援は、原則午後5時頃までですから、各部門ごとにゾーニングされ、管理上も明確に区画されていなければなりません。
したがって、主要なアプローチ及び玄関は、分離して設けることも考えられるのですが、2つを完全に独立した併設施設とすることは考えにくく、屋内で連絡できる計画が求められると思われます。平成27年の出題のように、共用のエントランスホールを介して、各部門にアクセスする場合も考えておかなければなりません。
階の構成は、保育所は、災害時の避難に配慮しなければなりませんし、園庭がありますから、建築物の1階、又は1階と2階に保育所が設置され、2階と3階が児童館となる構成が最も妥当です。
4.「要求図面」から
本年の課題は、昨年同様、平面図が3面出題されました。昨年と今年は、平成21年から6年間出題されていた「梁伏図」の出題がありません。答案用紙のスペースの関係から、平成23年の「平面図3面+梁伏図」の課題に比べて梁伏図がない分、敷地面積は東西45m~52m、南北35m~37m程度のやや大き目の敷地となることが考えられます。
その場合、建築物の規模は、地上部分で2,500㎡程度であることが容易に推定できます。
また、要求図書は平面図3面ですが、地上3階建てとは銘打たれておりません。つまり、地階の設備機械室が許容される課題となる可能性もありますので、地階がある場合の1階平面図での表現の仕方やドライエリアの計画、設備配管の計画などを理解しておく必要があります。
5.「パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画」
パッシブデザインとは、「地域の気候風土に合わせた建物自体のデザインで、熱や光や空気などの流れを制御して、地球環境への負荷を極力少なくするとともに、快適な室内環境を得る設計手法」と定義され、その不足分を機械的な手法(建築設備)で補うことです。
したがって、自然採光、自然通風を十分に活用し、建築物の断熱性を向上し、開口部等の日射遮蔽に留意することがテーマの1つになります。
6.「地盤条件を考慮した基礎構造の計画」
昨年の出題では、「基礎免震構造」の採用が指定され、断面図に図示し、計画の要点等でその説明が求められました。今年度は要求内容が不明ですが、問題文の建築物欄などの要求によって、地盤の耐力が劣るため、くい打ちなどを必要とする場合や、昨年と同様に免震構造の採用を解答者が判断することなどが考えられます。
したがって、一般的な直接基礎以外の基礎形式や、免震層の構成についての知識も備えておくことが求められます。
7.「天井の高い居室における天井等落下防止対策の考え方」
東日本大震災での落下事故の多発から、脱落によって重大な危害を生ずる恐れのある天井(特定天井)に関する法令が定められ、その構造方法が示されています。
縮尺1/200の断面図で構造を図示することはむずかしいのですが、計画の要点等の中に図示する欄が設けられることも考えられるため、概要を把握し、説明図を描けるようにしておく必要があります。また、ここで、把握しておかなければならないのは、要求室の中に、必ず天井の高い居室があるということです。
今週からTAC各校で始まるガイダンスにおいて、対策課題と答案例をご紹介したいと思いますので、是非ご参加ください。
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●日時 7/28(木) 18:30~21:00
●場所 TAC渋谷校・横浜校
●日時 7/31(日) 14:00~16:30
●場所 TAC新宿校・八重洲校・梅田校
●日時 7/31(日) 14:00~16:00 (名古屋校は「課題の概要説明会」のみ実施します)
●場所 TAC名古屋校
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