TAC建築士講師室ブログ

TAC建築士講座の講師・スタッフのブログです。

建築士

井澤ですいざわ

今回のテーマは、防火規定の最重要事項と言えるものです。

[テーマ問題] (建築基準法)
■問題1(法規R06-07)
耐火構造の耐力壁と準耐火構造の耐力壁は、いずれも、通常の火災による火熱がそれぞれについて定められた時間加えられた場合に、加熱終了後も構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものでなければならない。


耐火構造、準耐火構造の性能試験は、
火熱を所定の時間加え、加熱を終了します。これが「加熱終了」です。
その後放置するといずれ燃え尽きて火災が終了します。これが「火災終了」です。
この「加熱終了」と「火災終了」を区別したうえで、条文と見比べながら、次のポイントを整理しましょう。
――――――――――――――――――――――――
[比較暗記法]  建築基準法「耐火構造と準耐火構造の決定的な違い」
No.48
――――――――――――――――――――――――
・木造建築物の普及が促進されています。脱炭素社会の実現のためです。
・木は燃え続ける(炭化し続ける)ため、木造建築物はせっこうボードなどで被覆しないと火災終了まで倒壊しない耐火構造を実現することは難しいのです。
・それでも炭化層の分だけ断面を大きくする(燃え代設計)などしておけば、避難が終了するまでの間や、消防隊が消火活動を終えるまでの間など、要求性能に応じた時間だけは倒壊せずに、安全性を確保することができるようになるのです。
――――――――――――――――――――――――
[テーマ問題の解答]
■問題1 誤。
耐火構造は、通常の火災による火熱が所定の時間加えられた場合に、加熱終了後も構造耐力上支障のある損傷を生じてはいけませんが、
準耐火構造は、通常の火災による火熱が所定の時間加えられている間に構造耐力上支障のある損傷を生じなければ、加熱終了後は構造耐力上支障のある損傷を生じても許容されます。加熱中の性能だけが求められているのです。






井澤ですいざわ

[テーマ問題] (建築基準法)
■問題1(法規H25-04)
鉄筋コンクリート造、延べ面積500㎡、地上3階建ての事務所を新築する場合においては、建築主は、当該建築物の検査済証の交付を受ける前においても、特定行政庁又は建築主事若しくは指定確認検査機関から仮使用の認定を受けて、仮に、当該新築に係る建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
■問題2(法規R04-04)
建築主は、鉄骨造、延べ面積500㎡、地上3階建ての事務所を新築する場合において、完了検査の申請が建築主事により受理された日から7日を経過したときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用することができる。
■問題3(法規R03-04)
延べ面積2,000㎡、地上4階建ての病院の避難施設等に関する工事の施工中において当該建築物を使用する場合においては、当該建築主は、仮使用の認定を受けるとともに、あらかじめ、当該工事の施工中における当該建築物の安全上、防火上又は避難上の措置に関する計画を作成して特定行政庁に届け出なければならない。


仮使用の認定」と「安全計画届(安全上の措置等に関する計画届)」は、工事中に建築物の使用を始めるという同じタイミングでの手続きですが、目的が違うので手続きが必要な要件も違います。
――――――――――――――――――――――――
[比較暗記法]  建築基準法「仮使用の認定と安全計画届」
No.47

仮使用の認定(法7条の6)
工事の完成度の確認が主眼

安全計画届(法90条の3、令147条の2)
工事と使用が同時進行する時の工事管理体制の確保が主眼
特に利用者が多く、危険性が高い建築物が対象
――――――――――――――――――――――――
仮使用の認定(法7条の6)について>
・工事中の建築物は、火気使用、避難施設の未完成等により火災時の危険性が高いため、一定の建築物は、原則として、工事が完了して検査済証の交付を受けた後でなければ建築物を使用してはいけません。
・この規制は、法6条1項一号又は二号の建築物の①新築工事、②避難施設等に関する工事(増改築等)が対象です。
・ただし、次のいずれかに該当したときは建築物を使用することができます。これを「仮使用の認定」といいます。

法7条の6第1項
一号 特定行政庁の仮使用の認定
二号 建築主事等又は指定確認検査機関の仮使用の認定
三号 完了検査の申請の受理から7日を経過したとき。(法7条4項により、建築主事等が完了検査の申請を受理した場合は、7日以内に完了検査をしなければなりません。それを超えた場合は行政側の責任であり、建築物を使用し始めることができます。なお、その場合は使用中に追って検査を受けることになります。

――――――――――――――――――――――――
[テーマ問題の解答]
■問題1 正。法7条の6第1項一号及び二号により、特定行政庁、建築主事等(大規模建築物にあっては、建築主事)、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の認定をしたときは、仮に使用することができます。
■問題2 正。法7条の6第1項三号により、完了検査の申請が建築主事等(法4条7項に規定する大規模建築物にあっては、建築主事)により受理された日から7日を経過したときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用することができます。
■問題3 誤。法90条の3及び令147条の2第二号により、病院で5階以上の階におけるその用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡を超えるものに係る避難施設等に関する工事の施工中に当該建築物を使用する場合、建築主は、法7条の6の仮使用の認定に加えて、あらかじめ、工事の施工中における建築物の安全上、防火上又は避難上の措置に関する計画を作成して特定行政庁に届け出なければなりません。設問は、この規模に満たないため届出は不要です。






井澤ですいざわ
今日から建築基準法です。
まずは昔から定番の「主要構造部」と「構造耐力上主要な部分」を比較整理しましょう。

[テーマ問題] (建築基準法)
■問題1(法規H20-01改)
建築物の構造上重要でない最下階の床は、「主要構造部」である。
■問題2(法規H20-01)
建築物の自重等を支える基礎ぐいは、「主要構造部」である。
■問題3(法規R05-01)
建築物の自重、積載荷重等を支える最下階の床版は、「構造耐力上主要な部分」である。

――――――――――――――――――――――――
[比較暗記法]  建築基準法「主要構造部」と「構造耐力上主要な部分」
主要構造部
・「主要構造部」とは、「防火上重要な部分」です。
・「主要構造部」に欠陥がある場合には、火災時に倒壊、延焼等につながるおそれがあります。
・防火上の制限を受けます。
・例えば法35条の3の「主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。」のような制限を受けます。

構造耐力上主要な部分
・「構造耐力上主要な部分」とは、「構造強度上重要な部分」です。
・「構造耐力上主要な部分」に欠陥がある場合には、地震時などに倒壊等につながるおそれがあります。
・構造耐力上の制限を受ける部分です。
・例えば法20条1項三号イの「構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめる」のような制限を受けます。

No.40

<注目ポイント>
・構造上重要でない最下階の床「主要構造部」に該当しない。火災は上に拡がり、火災が床を横に拡がる影響は少ないためである。最下階「ではない」床は、下階からの火災を受けて拡がるおそれがあるため「主要構造部」である。一方、すべての階の床「構造耐力上主要な部分」には該当する。床は人、家具などの積載荷重や地震力などを受け、それを梁、柱、地盤へと伝達する役割を担うためである。
屋外階段「主要構造部」に該当しない。屋外階段が燃えても建築物の倒壊等につながるおそれは少ないためである。火災時の避難に重要と思われるかもしれないが、防火と避難は別物である
基礎、基礎ぐい「主要構造部」には該当しない。一方、「構造耐力上主要な部分」には該当する
――――――――――――――――――――――――

[テーマ問題の解答]
■問題1 誤。法2条五号。
■問題2 誤。法2条五号。
■問題3 正。令1条三号。





井澤ですいざわ

今回で建築基準法以外の関係法令は最後です。
最後にふさわしい比較暗記法です。
次回からは建築基準法を扱います。


[テーマ問題] 
■問題1(法規R02-26)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、認定特定建築物の建築物特定施設の床面積のうち、移動等円滑化の措置をとることにより通常の建築物の建築物特定施設の床面積を超えることとなる部分については、認定特定建築物の延べ面積の1/10を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないものとする。
■問題2(法規R05-27)
「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」に基づき、建築基準法第52条第1項に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の床面積のうち、建築物エネルギー消費性能誘導基準に適合させるための措置をとることにより通常の建築物の床面積を超えることとなる場合、国土交通大臣が定めるものの床面積については、当該建築物の延べ面積の1/10を限度として算入しないものとする。
■問題3(法規R03-28)
「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、低炭素建築物新築等計画の認定基準に適合させるための措置をとることにより通常の建築物の床面積を超えることとなる場合、建築基準法第52条第1項に基づく容積率の算定の基礎となる延べ面積には、当該建築物の延べ面積の1/10を限度に算入しないものとする。


それぞれの法律の目的に沿った望ましい計画の認定基準に適合させるために通常の建築物の床面積を超える部分については容積率の緩和がありますが、算入しない限度が延べ面積の1/10までのものと、1/20までのものとがあります。
――――――――――――――――――――――――
[比較暗記法] 「認定建築物の容積率不算入の上限1/10と1/20」
バリアフリー法19条、同法令27条
 延べ面積の1/10が限度
建築物省エネ法35条、同法令7条
 延べ面積の1/10が限度
低炭素化法60条、同法令13条
 延べ面積の1/20が限度
――――――――――――――――――――――――
・この違いについては、バリアフリー法は廊下、階段等の床面積の増加が不可避、建築物省エネ法は省エネ機器の設備スペースの床面積の増加が不可避だからと覚えましょう。
・一方、低炭素化法は必ずしも床面積の増加に直結しない、節水に関する取組、雨水・雑排水利用、BEMS(学科Ⅱ「環境・設備」で学習するビル・エネルギー・マネジメント・システム)の採用などの運用面も高く評価されます。

――――――――――――――――――――――――
[テーマ問題の解答]
■問題1 正。バリアフリー法19条、同法令27条。
■問題2 正。建築物省エネ法35条1項、同法令7条1項。
■問題3 誤。低炭素化法60条、同法令13条。






井澤ですいざわ

[テーマ問題] (建築物省エネ法)
■問題1(法規R06-27)
分譲型一戸建て規格住宅を1年間に150戸以上新築し、これを分譲することを業として行う建築主は、当該住宅をエネルギー消費性能の一層の向上のために必要な住宅の構造及び設備に関する基準に適合させるよう努めなければならない。
■問題2(法規R06-27改)
分譲型規格共同住宅等を1年間に300戸以上新築し、これを分譲することを業として行う建築主は、当該住宅をエネルギー消費性能の一層の向上のために必要な住宅の構造及び設備に関する基準に適合させるよう努めなければならない。
■問題3(法規R03-28)
請負型一戸建て規格住宅を1年間に新たに300戸建設する建設工事業者は、当該住宅をエネルギー消費性能の一層の向上のために必要な住宅の構造及び設備に関する基準に適合させるよう努めなければならない。
■問題4(法規R07-26改)
1年間に新たに建設する請負型規格共同住宅等の住戸の数が1,000戸以上である特定共同住宅等建設工事業者は、その新たに建設する請負型規格共同住宅等を、エネルギー消費性能の一層の向上のために必要な住宅の構造及び設備に関する基準に適合させなければならない。


・タイトルの「規格住宅のトップランナー制度」とは、建築物省エネ法22条、25条に基づき、分譲型(建売)、請負型(注文)のそれぞれにおいて、基準設定時のすべての住宅の中で省エネ性能が最も優れているものの性能技術開発の将来の見通し等を勘案して設定した水準を国土交通大臣及び経済産業大臣が定め、新たに供給する住宅について、5年度などに設定された目標年度において、その基準を平均的に満たすことを努力義務として課す制度を言います。
・マラソンのトップランナーにペースを合わせて進むイメージです。

――――――――――――――――――――――――
[比較暗記法]  建築物省エネ法「規格住宅のトップランナー制度
No.38
――――――――――――――――――――――――
上記の数値を覚えられれば本試験での解答時間短縮のために理想的です。
次のように考えると覚えやすいと思います。
一戸建て住宅では、分譲型(建売)150戸よりも請負型(注文)300戸のほうが、顧客の要望が多く省エネ性能の一律的な基準を課すのが難しいため、住戸数の基準が多くなってはじめて努力義務が課されます。
共同住宅では、分譲型(建売)でも請負型(注文)でも、一般に事業者、オーナー主導により省エネ性能を統一しやすいため、住戸数は同じ1,000戸以上です。

――――――――――――――――――――――――
[テーマ問題の解答]
■問題1 正。建築物省エネ法21条1項、22条1項及び同法令5条1項。
■問題2 誤。R06-27の正肢を誤肢に変更して出題しました。戸数は1,000戸以上が正しいです。建築物省エネ法21条2項、22条1項及び同法令5条2項。
■問題3 正。建築物省エネ法24条1項、25条1項及び同法令6条1項。
■問題4 誤。R07-26の正肢を誤肢に変更して出題しました。義務ではなく努力義務ですので、文末は「適合させるよう努めなければならない」が正しいです。
建築物省エネ法24条2項、25条1項及び同法令6条2項。





↑このページのトップヘ