井澤です
■問題1
鉄筋コンクリート構造において、大梁主筋の柱への必要定着長さは、大梁主筋の強度が高いほど短くなる。(一級構造:平成27年No.12)
■問題2
鉄筋コンクリート構造において、大梁主筋の柱への必要定着長さは、柱のコンクリート強度が高いほど短くなる。(一級構造:平成27年No.12)
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■解答
問題1 誤。鉄筋の強度が高くなると、必要定着長さは長くなります。
問題2 正。
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はじめに、「定着長さ」とは、鉄筋コンクリート構造において、①梁の鉄筋を柱に定着するときの長さ、②小梁の鉄筋を大梁に定着するときの長さ、③アンカーボルトをコンクリートに定着するときの長さ などをさします。
そして、「必要定着長さ」は、鉄筋がコンクリートから抜けないようにするために必要な定着長さです。
―――――ポイント:必要定着長さ――――――
■鉄筋の強度が高くなると、必要定着長さは長くなる。
↑鉄筋に大きな引張力が働き、抜けやすくなるから。
■コンクリートの強度が高くなると、必要定着長さは短くできる。
↑鉄筋がコンクリートから抜けにくくなるから。
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それでは、次の問題でおさらいしましょう。
■問題3
柱に定着する梁の引張り鉄筋の定着長さにおいて、SD295Aの鉄筋を同一径のSD390の鉄筋に変更したので、定着長さを長くした。(一級構造:平成23年No.13)
■問題4
SD345の鉄筋の一般定着の長さは、コンクリートの設計基準強度を24N/㎟から36N/㎟に変更したので短くした。(一級構造:平成20年No.14)
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■解答
問題3 正。SD390のほうが鉄筋の強度が高いので、必要定着長さは長くなります。
問題4 正。36N/㎟のほうがコンクリート強度が高いので、必要定着長さは短くなります。
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「必要定着長さ」は、鉄筋の強度、コンクリートの強度のほか、フックの有無によっても変わります。例えば、SD345、コンクリートの設計基準強度が24N/㎟であれば、フックなしで35d(dは異形鉄筋の呼び名に用いた数値)、フック付きで25dです。
なお、「フック付き」の必要定着長さは、「フックなし」の「-10d」ですが、フックの角度に関わらず一定です。つまり、何度のフックであろうと「-10d」です!
No.268(鉄筋の折曲げ形状2)も参照してください。
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/2016-01-18.html
必要定着長さ
井澤式 建築士試験 比較暗記法 No.268(鉄筋の折曲げ形状2)
井澤です
■問題
同じ鉄筋及びコンクリートを使用した場合、180度折り曲げ定着の必要長さ(次図LC)は、90度折り曲げ定着の必要長さ(次図LB)より短い。(一級構造:平成22年No.13改)
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■解答
誤。180度折り曲げ定着も90度折り曲げ定着も「必要定着長さ」は同じ。
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「必要定着長さ」はフックの角度に関わらず一定です。
180度フックと90度フックを比較すると、90度フックのほうが抜けやすいと思うかもしれませんが、90度フックはその分、余長を「8d以上」と長くすることによって抜けやすさを同じにしているのです。
したがって、180度フック(余長4d以上)も、135度フック(余長6d以上)も、90度フック(余長8d以上)も「必要定着長さ」は同じです。
なお、「定着長さ」は「必要定着長さ」以上とします。
この長さを測るとき、末端のフック部分の長さは含みません。上図のとおり、折曲げ開始点までのLB、LCの部分の長さを測ります。
「必要定着長さ」は、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度及びフックの有無によって決まります。例えば、SD345、コンクリートの設計基準強度が24N/㎟であれば、フックなしで35d(dは異形鉄筋の呼び名に用いた数値)、フック付きで25dです(何度のフックであろうと!)。