井澤ですいざわ

■問題1
建築構造用TMCP鋼は、同じ降伏点のSN材やSM材に比べて炭素当量が低減されているので、溶接性が向上している。(一級構造:平成20No.25
■問題2
建築構造用TMCP鋼の基準強度は、厚さが40㎜を超え、100㎜以下の厚鋼板の場合においても、厚さが40㎜以下の場合と同じである。(オリジナル予想問題)

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■解答
 問題1、2ともに正。
 問題2はオリジナル予想問題です。
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No.355
(鋼材の板厚と降伏点・引張強さ)では、次のことを学びました。
「板厚が40mmを超えると(=板厚が厚くなると)、熱処理時の冷却にムラができやすく、降伏点が低下する。 鋼材は降伏点を基準強度としているので、一般に、板厚が40mmを超えると、基準強度は小さくなる。」
http://kentikushi-blog.tac-school.co.jp/archives/48182360.html

今回はこれと関連する内容です。

TMCP鋼
とは、Thermo Mechanical Control Process(熱加工制御)の略で、製造過程での熱処理時の温度を制御することにより冷却にムラがなくなるため、板厚が40㎜を超える場合でも基準強度の低減が不要です。

問題1
は過去問です。
一般に、鋼材は約0.8%までは炭素量が多くなると、強度は大きくなりますが、脆くなり、溶接性も低下します。
TMCP鋼は、高度な熱加工制御により炭素量が少なくても強度が大きく、溶接性も向上しています。

問題2オリジナル予想問題です。
TMCP鋼に関する問題1の溶接性も大事な内容ですが、それに勝るとも劣らない重要なポイントが、「厚鋼板でも基準強度の低減が不要」という点ですから、ぜひ覚えておいてください。

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ポイント:TMCP鋼――――――
■TMCP鋼
・板厚が40mmを超える厚鋼板でも基準強度の低減が不要。
■一般の鋼材
・板厚が40mmを超えると、熱処理時の冷却にムラができやすく基準強度が小さくなる。
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