井澤ですいざわ

■問題1
単位床面積当たりの積載荷重の大小関係は、実況に応じて計算しない場合、「床の構造計算をする場合」>「大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合」>「地震力を計算する場合」である。(一級構造:平成18No.8)
■問題2
事務室の柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合において、ささえる床の数に応じて、積載荷重を低減することができる。(一級構造:平成19No.8)
■問題3
劇場の柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合において、ささえる床の数に応じて、積載荷重を低減することができる。(一級法規:平成23No.12改)

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■解答
 問題1、2 正。
 問題3 誤。劇場の場合、ささえる床の数による積載荷重の低減はない。
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積載荷重
は、人間、家具など、移動可能なものの重さによる荷重です。
積載荷重の特徴は、分布に偏りが生じることです。
そこで、分布の偏りを考慮して、次の3つの計算において、それぞれ異なる値が定められています。

(1)積載荷重と構造計算の種類

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① 床の構造計算用
床の構造計算をする場合は、積載荷重が最も集中した最大値でも床が抜けないようにするため、積載荷重の値は最大値になります。
② 大ばり・柱・基礎の構造計算用
上図で考えると左手前の柱は、床の左手前1/4の積載荷重を負担します。床の1/4全体が積載荷重の最大値になっていることは考えにくく、床の1/4で積載荷重が平均化されると、積載荷重の値は小さくなります。
③ 地震力の構造計算用
地震力は床全体の重量にかかります。床全体でみると、積載荷重はさらに平均化されるので、積載荷重の値はさらに小さくなります。


(2)柱がささえる床の数による積載荷重の低減

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① 一般の場合(劇場、映画館等以外)
考え方は(1)と同じです。
ささえる床の数が多くなると、その分、積載荷重が平均化され、偏りが小さくなるので、積載荷重を低減することができます。
(注意)
ささえる床の数が多くなると低減率は小さくなりますが、決して積載荷重が小さくなるということではありません。上図下段のとおり、1階柱の積載荷重は、2階柱の積載荷重よりも大きくなります。
② 劇場、映画館等の場合
劇場、映画館等では、「ささえる床の数による積載荷重の低減」はありません。
劇場、映画館等では全階満員で、平均化しても積載荷重の値が小さくならない場合があるからです。