井澤ですいざわ

■問題1
柱断面を被覆型鋼管コンクリートとしたので、帯筋比が0.2%以上となるように設計した。(一級構造:平成20No.15
■問題2
コンクリート充塡鋼管(CFT)柱は、同じ径・同じ厚さの中空鋼管柱よりも局部座屈が生じにくく、座屈後の耐力低下も少ない。(一級構造:平成27No.23
■問題3
コンクリート充填鋼管(CFT)柱は、コンクリートが充填されていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、水平力に対する塑性変形能力が高い。(一級構造:平成22No.20
■問題4
コンクリート充填鋼管(CFT)構造の柱においては、外周の鋼材によるコンファインド効果により、一定の要件を満足すれば、充填コンクリートの圧縮強度を、通常の鉄筋コンクリート造の場合よりも高く評価することができる。(一級構造:平成24No.20

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■解答
問題1 正。問題1は、前回のNo.376でも扱いました。鋼管コンクリート構造では、被覆部分はRC造とみなすので、RC造のせん断補強筋比と同じ「0.2%以上」です。
問題2、3 ともに正。問題2と3はまったく同じことを言っています。「局部座屈が生じにくく、座屈後の耐力低下も少ない」=「塑性変形能力が高い」です。

問題4 正。コンクリート充填鋼管(CFT)は、「相互拘束効果(コンファインド効果)」により、充填コンクリートの圧縮強度が高くなります。

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鋼管コンクリート構造」は、SRC造の分類の一つで、さらに次の3つに分類されます。

CFT
①被覆型 鋼管の外側だけを鉄筋コンクリートで被覆したもの
②充填型 鋼管の内側だけにコンクリートを充填したもの
③充填被覆型 鋼管の内側にコンクリートを充填し、外側を鉄筋コンクリートで被覆したもの

このうち、特に②を「
コンクリート充填鋼管」「CFT(Concrete illed steel ube)」と呼びます。
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(注意)名称の紛らわしさについて
1.「鋼管コンクリート構造」という名称は、正しくは①、②、③の総称ですが、「②」の意味だけで使われることがありますので注意が必要です。
2.②を「充填型鋼管コンクリート」と呼ぶこともできますが、一般的には「コンクリート充填鋼管」または「CFT」と呼びます。
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さて、問題1は①被覆型についての設問です。問題2、3、4は②CFTについての設問です。

■問題1
前回のNo.376でも扱いましたが、①被覆型と③充填被覆型の帯筋比は、どちらも0.2%以上です。②CFTに帯筋比の規定はありません。これはあたり前ですよね、②CFTには鉄筋は無いんですから。

■問題2、3、4
コンクリート充填鋼管(CFT)についての設問です。
ポイントは次のとおりです。

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ポイントコンクリート充填鋼管(CFT)
(1)充填コンクリートが、鋼管の局部座屈を抑制
   →「急激な耐力の低下が生じない
   →「塑性変形能力の向上」
(2)鋼管が、充填コンクリートの圧縮潰れによる体積膨張を抑制
   →「充填コンクリートの圧縮強度の向上」
上記(1)(2)を「相互拘束効果(コンファインド効果)」という。
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