TAC建築士講師室ブログ

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降伏点の下限値

井澤ですいざわ

■問題1
建築構造用圧延鋼材SN400Bの引張強さの下限値は、400/㎟である。(一級構造:平成27No.29改)
■問題2
鉄筋コンクリート用棒鋼SD345の降伏点又は耐力の下限値は、345/㎟である。(一級構造:平成27No.29
■問題3
(一社)日本鉄鋼連盟製品規定「建築構造用冷間プレス成形角形鋼管」に適合するBCP235材の降伏点又は耐力の下限値は、235/㎟である。(一級構造:平成20No.25
■問題4
建築構造用ステンレス鋼材に定めるSUS304Aの基準強度は、板厚が40㎜以下のSN400Bと同じである。(一級構造:平成23No.29
■問題5
建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力を基に基準強度を定めている。(一級構造:平成25No.29

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■解答 すべて正。
 問題1、2は基本問題、問題3、4は発展問題と言えるでしょう。
 問題5は関連として一緒に覚えておきましょう。
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■基本

 

 

数値の意味

鋼材

SN400

400引張強さの下限値

鉄筋

SD345

345降伏点の下限値

・鋼材のように「引張強さ」で表すのが基本的な考え方と言えます。
・鉄筋は、鉄筋コンクリートの材料として使用されます。降伏点を超え伸びが大きくなるとコンクリートとズレが生じ、用をなさなくなるので「降伏点」で表します。

■発展

鋼材についての発展的な内容として、次の内容も覚えておきましょう。
鋼材は「引張強さ」で表すのが基本ですが、次のように例外があります。
・冷間成形角形鋼管(BCP:ボックスコラムプレス/BCR:ボックスコラムロール)は「降伏点」で表します。これは、角形に成形する際に一部をすでに塑性化させており、すでに降伏させているから、と考えてください。
・SUS304304は成分を表す記号であり、強度はまったく関係ありません。
そして次表の鋼材はすべて基準強度(=降伏点強度)が235/㎟で、まったく同じです。 

 

数値の意味

基準強度
(=降伏点強度)

SN400

400引張強さの下限値

235/
(板厚40mm以下※)

BCP235
BCR235

235降伏点の下限値

235/

SUS304

304は成分を表す記号

235/

※SN400について
板厚が40mmを超える場合の基準強度は215/㎟。板厚が厚くなると熱処理時の冷却にムラができやすく、降伏点が低下するため基準強度は小さくなる。

井澤ですいざわ

■問題1
鉄筋コンクリート用棒鋼SD345の数値345は、降伏点の下限値が345/mm2であることを示している。(一級構造:平成15No.24改)
■問題2
建築構造用圧延鋼材SN490Bの数値490は、引張強さの下限値が490/mm2であることを示している。(一級構造:平成21No.29改)

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■解答
 問題1、2ともに正。

―――――――――ポイント―――――――――
鉄筋の記号の数値・・・降伏点の下限値
鉄骨の記号の数値・・・引張強さの下限値
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鉄骨(鋼材)のように最大の強さである「引張強さ」で表すのが基本的な考え方です。

一方、鉄筋は、鉄筋コンクリートとしてコンクリートと一体で使われるものです。鉄筋が降伏点後、塑性域において大きく変形してしまうと、コンクリートとズレて強度が期待できませんので、鉄筋の場合は降伏点の値で示します。

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