井澤です
今回は建築物が周辺環境に与える影響についての出題です。
■問題1
高層建築物を建築する場合、地表付近の風速増加率は、周囲に低層建築物がある場合に比べて、周囲に建築物がない場合のほうが大きくなる。
(一級計画:平成25年No.5)
設問の意味を理解するところから始めましょう。図を見てください。
(1)の①のように「周囲に低層建築物がある」土地と、(2)の①のように「周囲に建築物がない」土地とがあります。
同じ風が吹いた場合、「周囲に建築物がない場合(2)」のほうが、風を遮るものがないので風速自体は大きくなります。図中の例で言えば10m/sです。
この両方の土地に高層建築物を建てます。
このとき、高層建築物を建てる前の風速に対して、高層建築物を建てた後のビル風の影響で風速が増加する割合はどっちが大きいか、という設問です。
「周囲に建築物がない場合(2)」ほうが、風を遮るものがないので風速が大きいという点はさきほどと同じなのですが、設問は「風速が増加する割合」つまり「風速増加率」ですから、「風速自体」と「風速増加率」の違いがポイントになります。
低層建築物は吹き降ろすビル風を遮る効果は小さいですから、「周囲に低層建築物がある場合(1)」ほうは、もともと5m/sしかなかった風速が15m/sに増えるだけだとしても、風速増加率で表すと3.0倍です。
一方、「周囲に建築物がない場合(2)」ほうは、もともと10m/sもあったので、風速が18m/sになったとしても風速増加率は1.8倍です。
―――――――ポイント―――――――――
高層建築物の建築によるビル風の影響
■風速自体
周囲に建築物がない場合(2)のほうが大きくなる。
■風速増加率
周囲に低層建築物がある場合(1)のほうが大きくなる。
――――――――――――――――――――
■解答
誤